2018 Fiscal Year Research-status Report
慢性疼痛高齢者の身体活動量と疼痛強度に関するエピジェネティクス的検討
Project/Area Number |
18K17955
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
牧野 圭太郎 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 老年学・社会科学研究センター, 研究員 (90775545)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 身体活動 / 慢性疼痛 / microRNA / 炎症性サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢期では、慢性疼痛と呼ばれる遷延した身体の痛みが多く認められ、痛み自体の苦しみのみならず、身体活動が過剰に制限され、機能障害やさらなる痛みが誘発される悪循環が問題視されている。疼痛治療の非薬物療法として身体運動は国際的に推奨されており、これまで疼痛を有する高齢者の運動介入による機能改善や疼痛緩和に関する研究報告が蓄積されてきた。しかしながら、なぜ身体運動が疼痛緩和に繋がるのかについてのメカニズムは未だ十分に明らかにされていない。近年、エピジェネティクス(遺伝子配列の変化を伴わず後天的な修飾により遺伝子発現が制御される仕組み)に着目した疼痛研究が急速に進められており、遺伝子発現を調節する役割を持つmicroRNA(miRNA)の発現量が慢性疼痛患者と健常者で異なることが報告されている。 本研究の目的は、慢性腰痛を有する高齢者を対象に、身体活動量と疼痛の縦断変化について、miRNAおよび炎症性サイトカインの血中濃度の変化に着目したエピジェネティックな縦断解析を行い、身体運動による疼痛緩和メカニズムを解明することである。本研究により、身体運動と疼痛緩和との関連について、新たな側面から客観的な解明が可能になると考えられる。 初年度では、地域高齢者のコホートデータベースから本研究対象者の選定を行い、対象者のリクルートを行った。身体活動量と疼痛、血液データの取得を進行中であり、miRNAおよび炎症性サイトカインを含め現在データベースを構築中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの進捗として、既に身体活動量や疼痛、血液データの取得を進行中であり、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方策として、長期的な身体活動量の変化と疼痛強度、miRNAおよび炎症性サイトカインの血中濃度の変化を追跡する。さらに、身体活動量と疼痛強度の縦断変化について、miRNAおよび炎症性サイトカインの血中濃度の変化に着目したエピジェネティックな縦断解析を行い、身体運動による疼痛緩和メカニズムを解明する。
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Causes of Carryover |
データ取集は既に進行中であるが、血液データからのmicroRNA解析は次年度にまとめて実施予定であり、専門業者への委託費用が次年度へと繰り越された。
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Research Products
(5 results)