2019 Fiscal Year Research-status Report
Neural mechanisms that bridge nostalgic memory remembering and positive future thinking
Project/Area Number |
18K17957
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大場 健太郎 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (90612010)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 回想 / 自伝的記憶 / 懐かしさ / 楽観性 / 背内側前頭前皮質 / 機能的MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度に実施した実験(懐かしい記憶の回想による楽観性変化に関連する脳活動解明のための機能的MRI)の論文化に向けてその分析の精緻化と学会発表を行った。前年度の学会発表では、全脳を対象とした基本的分析結果であったため、2019年度は解析の関心領域を今回の被験者群における自伝的記憶回想に特異的な脳領域に限定し、楽観性変化との相関を検討した。その結果、背内側前頭前皮質の活動が回想前後の楽観性変化量と正相関することが明らかとなり、特定の脳領域が回想による楽観性変化を媒介している可能性が示された。この新たな結果を第33回ヨーロッパ健康心理学会にて発表し、その内容に関して日本健康心理学会より2019年度アーリーキャリアヘルスサイコロジスト賞に選出していただいた。さらに、Organization for Human Brain Mapping (OHBM2019)に参加し、脳機能マッピング分野における記憶研究の最新動向と脳画像解析の発展的手法についての情報収拾を行った。これらの学会等での研究成果発信を通して、地域住民を対象として地域回想法を実践しているNPO法人の代表や、医療現場におけるアロマトリートメントで回想によるポジティブな効果が見られることを報告しているアロマセラピストの方々と研究協力体制を構築することができた。今年度は、本研究の成果を社会へ還元する方法についてもこれら実践家の方々と打ち合わせを行い、その方法の一つとして香りを手がかりとした回想の効果検証についても予備的検討を開始した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
回想が楽観性に与える効果とその神経基盤に関しては期待通りの結果を得ることができているが、その特異性の検証が十分でないため他の心理効果(気分等)との関連の分析を進める必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
回想による楽観性以外の心理効果(気分等)の分析を進めることで、各心理効果の特異性、およびポジティブ効果としての共通性についても検討を進める。COVID-19の流行により実験実施が難しくなることも予想されるため、これまでに取得したデータの論文化を進めつつ、回想の効果に関するオンライン実験などの可能性についても模索する。
|
Causes of Carryover |
当該年度末に予定していた実験被験者リクルートをCOVID-19の感染拡大防止のために見送った。これにより実験が一部中止となり次年度使用額が発生した。今後、収束状況を見極めながら実験再開、あるいは場合によっては回想の効果に関するオンライン心理実験なども検討していく。
|