2021 Fiscal Year Research-status Report
Neural mechanisms that bridge nostalgic memory remembering and positive future thinking
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18K17957
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大場 健太郎 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (90612010)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 懐かしさ / 楽観性 / fMRI |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、これまでに取得したデータの解析と論文執筆を中心に研究活動を行なった。 前年度までに実施した機能的MRI実験(懐かしい記憶の回想による楽観性変化に関連する脳活動解明)の論文執筆の過程で、脳画像の前処理と脳活動モデルの再検討を行った。具体的には、頭部の動きの影響をより軽減させるために、脳画像の時系列データから瞬間的に大きく動いた画像を統計解析から除外する処理を追加した。また、MRIの中で実施した課題の試行ごとの懐かしさ得点を脳活動モデルに組み込む分析を行い、関心としている自伝的記憶の回想に関わる領域(海馬や内側前頭前皮質等)および報酬関連脳領域(腹側線条体等)の統計値が高まることを確認した。さらに、懐かしさと関連するこれらの領域と他の脳領域の機能的結合解析を行い、懐かしい記憶回想および回想による心理効果の背景にある神経ネットワークの同定に取り組んだ。 本研究のこれまでの活動を通して、懐かしい記憶の機能や神経基盤に関する論文の執筆依頼を受け、懐かしさに関する脳機能イメージングの先行研究と懐かしさの神経科学モデルに関する総説を出版した(Oba and Sugiura. International Journal of Holistic Professional Aromatherapy, 10(1) 29-39, 2021)。また、心理学評論の「なつかしさの認知・神経基盤と機能」特集に参画させていただき、なつかしさの神経基盤に関するコメント論文を出版した(大場. 心理学評論, 64(1) 112-114, 2021)。これらの成果発表を通して、懐かしさの機能と神経基盤に関する先行知見を整理することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
回想が楽観性に与える効果とその神経基盤に関しては、即時的効果の個人差が背内側前頭前皮質の活動と関連しているという新たな知見を得ることができた。背内側前頭前皮質と他の脳領域の機能的結合についても解明できつつある。他の心理効果と脳活動の関連性について検討が十分でない点があり、引き続き詳細な検討を行なっている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までの分析と文献調査により、回想による楽観性変化の神経基盤に関する論文執筆の道筋がついた。今後は機能的結合の分析結果を整理し、他の心理効果と脳活動の関連性について分析を完了させ、その結果を含む論文執筆を加速し、本研究の総括を行う。
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Causes of Carryover |
2021年度も引き続きCOVID-19の影響により国内・国際会議がオンライン開催となったため、その旅費として当初計上していた額が次年度使用額として生じた。2022年度は対面開催が戻りつつあるため当初予定通り旅費として使用することと、論文掲載費等に配分することを計画している。
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