2018 Fiscal Year Research-status Report
食物成分によるエピジェネティカルな遺伝子発現制御と食健康
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18K17964
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
北岸 靖子 奈良女子大学, 大学院人間文化研究科, 博士研究員 (10747322)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 食事療法 / 細胞内シグナル伝達 / エピジェネティック解析 / 遺伝子発現 / 免疫細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
食品成分などによる生活習慣病関連遺伝子の発現結果を踏まえ、その食品成分がふくまれる効果的な食事療法のデザインの大枠を考えている。株化免疫系細胞を用いて実際にそれらの細胞内発現を効率よく制御できることをin vitroの実験で確認した。すなわち、食成分によるエピジェネティックな遺伝子発現調節の結果をアレルギー疾患などの予防のための食事のデザインにつなげた。この場合、自然食品を摂取することで細胞内に形成される発現調節系を利用したin vivoでの解析も動物組織細胞などで行った。これらにより具体的で効果的な食事メニューの構築が可能となっている。 動物実験系でin vivo におけるターゲット蛋白質の機能の活性化や細胞内局在の変化を追跡した。そして、転写調節系がどのようなメカニズムによるものなのかを明らかにしている。例えば、核内たんぱく質であるPPARやビタミンD受容体は共同で転写調節系として機能していることを明らかにした。また、リアルタイムPCR法を用いて生活習慣病などの疾患関連遺伝子発現の状況を、類似の食品成分などによる刺激に応じての変化や差異そして相乗効果などを解析した。 最後に、これまでと同様生細胞を紫外線や活性酸素そして抗酸化剤などで刺激してそれらの変化を確認した他、種々の食成分による影響も検討した。さらに、種々の細胞刺激によってゲノム全体のメチル化状態がどのように変化するか、メチル基受容体アッセイやメチル化DNAのELISA法を用いて測定を対象を拡大して試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請している研究計画を基本的に遂行していることに加え発展的な実験なども順調に進展してきている。成果として、これまでに査読付き英語論文など申請者を共著者として4報学術雑誌に発表し学会発表も行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
特異抗体を用いて免疫沈降や蛍光細胞染色によって機能分子の局在を確認すると同時に、細胞内シグナル伝達系における変化を調べる。細胞刺激に誘発されるコレステロールの動態変化も確認し、細胞内膜輸送活動が上昇する際にカベオラ構造などがどの様な変化を生じさせるのかについても調べる。 同様にして、アダプター分子であるNESCAやNESHの関与についてもRNAiを用いて機能を明らかにしていく。さらに、種々の細胞刺激によって局在の変化やチロシンリン酸化やアポトーシスの有無を検討する。 可能であれば引き続き、免疫疾患関連遺伝子のSNP解析結果や本研究成果を踏まえて新たな方向性を探索する。さらに、株化細胞や実験動物を用いて実際にそれらの細胞内発現を制御できることをin vitro、in vivoの実験系を用いて検証していく。
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