2018 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of a mechanism of metabolic syndrome-induced skin dysfunction
Project/Area Number |
18K17980
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
山根 拓実 東京農業大学, 応用生物科学部, 助教 (80637314)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | メタボリックシンドローム / 肥満 / 皮膚 / コラーゲン |
Outline of Annual Research Achievements |
メタボリックシンドロームはレプチン抵抗性を生じ、肥満をはじめ多くの疾病を引き起こすことがわかっている。皮膚においてもバリア機能の低下に伴うアトピー性皮膚炎の発症リスクの増大や創傷治癒の遅延等が報告されているが、これらの機能障害が引き起こされる分子メカニズムに関しては不明である。そこで、申請者は研究課題「メタボリックシンドロームによる皮膚機能の脆弱化メカニズムの解明」を遂行する。申請者はメタボリックシンドロームによるレプチン抵抗性が皮膚の脆弱化の一要因である仮説を構築し、病態モデルラットを用いて解析を行う。初年度はレプチン遺伝子が変異しているメタボリックシンドロームモデルマウスであるob/obマウスの皮膚を用いて、トランスクリプトーム解析を行った。その結果、WTマウスでは、567遺伝子が有意に増加を認めた。一方、ob/obマウスでは、228遺伝子が有意に増加を認めた。これらの変動遺伝子群をgene ontology(GO)としてenrichment解析を行ったところ皮膚におけるコラーゲンをはじめとする細胞外マトリックス関連遺伝子群が顕著に減少していることが明らかとなった。さらに、皮膚のハリや弾力に関与し、皮膚中コラーゲンの約八割を占めるI型コラーゲン量はタンパク質レベルでも減少を認めた。このことは、皮膚のみならずあらゆる生体組織でレプチンシグナルの新たな機能とメタボリックシンドロームによるレプチン抵抗性の原因解明に応用することができ、病態生理の理解に寄与する多くの可能性を秘めていると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに申請者はレプチン遺伝子が変異したメタボリックシンドロームモデルであるob/obマウスの皮膚を用いてトランスクリプトーム解析を行ったところ、WTマウスでは、567遺伝子が有意に増加を認めた。一方、ob/obマウスでは、228遺伝子が有意に増加を認めた。WTマウスで増加の認められた遺伝子群をgene ontology(GO)としてenrichment解析を行ったところ、42GOがそれぞれ意味のあるtermとして示された。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでのob/obマウスを用いた結果より、皮膚におけるコラーゲン合成が低下していることが見出された。しかしながら、本研究成果はメタボリックシンドロームの病態による二次的な影響かレプチンのシグナル阻害が直接影響しているのか不明である。そこで、今後は皮膚線維芽細胞を用いてより詳細な分子メカニズムを検討する。さらに、高脂肪食等の食事誘導性のメタボリックシンドロームが皮膚に及ぼす影響を検討する。
|
Causes of Carryover |
当初予定していたトランスクリプトーム解析を本学のゲノム解析センターと共同研究という形で無償で実施したため、次年度使用額が発生した。今後の使用計画として変動の認められた遺伝子に対してタンパク質レベルでの検討や細胞を用いた実験を盛り込み、より詳細なメカニズムを検討する。
|