2019 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of a mechanism of metabolic syndrome-induced skin dysfunction
Project/Area Number |
18K17980
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
山根 拓実 東京農業大学, 応用生物科学部, 助教 (80637314)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | メタボリックシンドローム / レプチン / 皮膚 / コラーゲン |
Outline of Annual Research Achievements |
メタボリックシンドロームはレプチン抵抗性を生じ、肥満をはじめ多くの疾病を引き起こすことがわかっている。皮膚においてもバリア機能の低下に伴うアト ピー性皮膚炎の発症リスクの増大や創傷治癒の遅延等が報告されているが、これらの機能障害が引き起こされる分子メカニズムに関しては不明である。そこで、申請者はメタボリックシンドロームによるレプチン抵抗性が皮膚の脆弱化の一要因である仮説を構築し、病態モデルマウス及び皮膚線維芽細胞を用いて解析を行った。初年度はレプチン遺伝子が変異しているメタボリックシンドロームモデ ルマウスであるob/obマウスの皮膚を用いて、トランスクリプトーム解析を行った。その結果、ob/obマ ウスではコラーゲンをはじめとする細胞外マトリックス関連遺伝子群が顕著に減少していることが明らかとなった。さらに、皮膚のハリや弾力に関与し、皮膚中コラーゲンの約八割を占める I型コラーゲン量はタンパク質レベルでも減少を認めた。最終年度では、皮膚線維芽細胞におけるレプチン受容体の発現をRT-PCRで確認したところ発現が認められなかった。そこで、メタボリックシンドロームによる皮膚の脆弱化は、他組織の影響を受けている可能性が示唆された。先行研究では、肥満者では、真皮の直下に存在する皮下脂肪で酸化ストレスが増加することが報告されている。そこで、皮下脂肪の解析を行ったところ、酸化ストレスによって誘導され、コラーゲン分解に関与するMatrix metalloproteinase(MMP)sの発現が増加していることがわかった。これらのことから、皮下脂肪で産生されるMMPsによるコラーゲンの分解が皮膚の脆弱化に寄与していることが明らかになった。このことは、メタボリックシンド ロームによって惹起されるレプチン抵抗性の病態生理の理解に寄与する可能性を秘めている。
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