2018 Fiscal Year Research-status Report
Influence of breastfeeding and mother's diet on infants' allergy
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18K17996
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Research Institution | National Institutes of Biomedical Innovation, Health and Nutrition |
Principal Investigator |
松永 安由 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 ワクチン・アジュバント研究センター, 特任研究員 (40802591)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 母乳哺育 / 乳幼児アレルギー / 母子栄養 / 腸内細菌叢 / 核酸成分 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、母親の食生活が母乳哺育を介して乳児のアレルギー発症に及ぼす影響の解析を目的として行っている。初年度である2018年度は、ヒト母乳と乳児の血液・糞便サンプルの解析を進めるとともに、それらデータと母親の食事調査のデータをアレルギー発症群と非発症群に分けて比較し、アレルギー発症寄与因子の探索を行った。その結果、母乳中の核酸成分のうちの9種が、アレルギー発症群において非発症群に比べて有意に低い値を示すことが明らかになった。また、この核酸成分は母親のアレルギー歴には影響されないことがわかった。さらに、同一の母親から採取した異なる時点(出産後0、1、3ヵ月時)の母乳中の核酸成分を解析したところ、いずれの核酸成分もすべての時点において発症群において低値であった。さらに9種のうち7種は0、6ヵ月の時点に比べて3ヵ月のときに値が高く、残り2種は0ヵ月>1ヵ月>6ヵ月の順で値が推移していた。 今後は、母乳中核酸成分と母親の食事調査の結果などを併せて比較し、影響を及ぼす栄養素や生活習慣を探索する。さらにこれら核酸成分によって制御されうる子ども側の遺伝子発現についてもターゲット予測アルゴリズムなどを活用しさらに詳細に調べる。これらの調査結果をアレルギーモデルマウスを用いた検証に繋げていく。 加えて、ヒト乳児の腸内細菌叢についてもアレルギー発症群と非発症群に分けて比較し、腸内細菌叢が発達していく段階においてアレルギー発症に影響を及ぼす菌種の同定を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた母乳・糞便サンプルの測定を進めることができた。一方データ解析については、乳児腸内細菌叢の解析に着手できておらず次年度に繰り越すこととなった。次年度は、初年度に行ったサンプルの測定およびデータ解析の結果を受けて計画した動物実験に加えて、腸内細菌叢のデータ解析を進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、母乳中核酸成分が母親の栄養素摂取など他の因子の影響を受けて変化しうるのか、相関解析を進める。さらに、母乳中核酸成分が乳仔のアレルギー発症を実際に抑制するのか、作用機序も含めマウス実験で検証する。 さらに、データ解析は引き続き行うこととし、乳児の腸内細菌叢など他の因子についても、乳児のアレルギー発症に影響を及ぼす可能性があるかどうか解析を進める。
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Causes of Carryover |
次年度使用分が生じた理由は、初年度にデータ解析用のパソコンの購入を予定していたが、購入を見送ったためである。これまでの解析は既に所有していたパソコンで行なえる範囲であったため購入を先送りしたが、今後進めていく腸内細菌叢のデータはデータ容量が膨大であり、これまで使用していたパソコンの性能で行うには難がある。したがって次年度に購入を予定している。
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