2020 Fiscal Year Research-status Report
到着の非斉時性と受付期間の有限性を反映した待ち行列モデルに関する研究
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18K18007
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井上 文彰 大阪大学, 工学研究科, 助教 (40779914)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 待ち行列理論 / マルコフ連鎖 / データ分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
病院や商業施設など,現実のサービス施設において生じる待ち行列の特徴である,到着過程の非斉時性(時間依存性) を反映した待ち行列モデルの性能指標に対する数値計算法を考察した.特に,非斉時な確率現象を表現する枠組みである連続時間非斉時マルコフ連鎖に対し,その過渡的な状態確率を計算する新しいアルゴリズムを昨年度までに開発しており,本年度は,そのアルゴリズムを用いて具体的な待ち行列モデルの性能指標を求める数値実験を行った.本研究において考案した数値計算アルゴリズムは,対象とするマルコフ連鎖の時間依存性を特別な形の無限級数として表現するものであり,非常に幅広い時間依存遷移速度行列を任意の精度で近似可能である.本年度は実際に,この新しい枠組みを用いて,複数のパターンの時間依存到着過程をもつ待ち行列モデルに対して過渡状態確率を計算し,現実的な計算量でさまざまな到着パターンを表現可能であることを検証した. また,大規模総合病院の外来における待ちについて,蓄積されたログデータをもとに分析を行った.データより,到着過程に強い時間依存性が見られるだけでなく,日毎の変動が大きいことが観察され,そのような状況に対処可能となるデータ分析手法を開発した.具体的には,ピーク時の到着率,ピーク時の離脱率,ならびにピーク時の待ち人数という三つの量に基づいて,システムのサービス容量や,大きな混雑を生じさせない許容可能な到着率などを見積もる手法を考案した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
成果発表に向けて追加のデータ分析や数値計算が必要であり,当初の予定よりもやや遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに開発した数値計算アルゴリズムや待ち行列モデルへの応用,ならびに実データに対する分析手法とその結果について学術論文誌での発表を行う.
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Causes of Carryover |
国際会議参加費ならびに旅費として使用する当初計画であったが,国際会議のオンライン開催によりそれらが必要がなくなったこと,ならびに成果発表に向けて追加のデータ分析が必要となり,それを加速するために新たに計算機を購入する必要があることから使用計画を見直したため.次年度,データ分析用の計算機購入費ならびに成果発表に係る論文掲載料として使用予定である.
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Research Products
(6 results)