2020 Fiscal Year Research-status Report
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18K18009
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
片山 翔太 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 准教授 (50742459)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高次元線形回帰 / スパース推定 / 因果推論 / 高次元検定 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き高次元線形回帰モデルにおける2グループ間の差異検出に関する研究を行った.グループの割り当て確率が完全にランダムではなく,共変量に依存するような一般的なケースにおいて,前年度までに手法の構築,数値計算アルゴリズムの提案,予測誤差の導出を完了させることができた.当該年度は先ず,数値計算アルゴリズムの効率化と,さらなる理論評価について研究を行った.数値計算アルゴリズムについては,前年度は交互方向乗数法を適用する形で数値最適化を行っていたが,変数の次元が数千のオーダーの場合に計算負荷が非常に高いという問題があった.その原因のひとつは,目的関数が一様ノルムを含んでいることにあり,これをスムーズに近似することで計算の効率化を行った.また,理論評価については,変数選択の一致性を導出し,さらに予測誤差の最適性に関する文献調査を行い,最適性を導出するための筋道をたてた.
一方で,上記と同様の,グループへの割り当て確率が共変量に依存するケースにおいて,高次元平均ベクトル間の大域的差異を検定によって検出する方法論の構築を試みた.割り当て確率がランダムの場合の研究はすでに多くなされているものの,共変量に依存するケースではほとんど研究されていない.遺伝子データ解析の文脈では,がん患者と健常者の例に見られるように,割り当てはランダムではない.当該年度は,因果推論における二重に頑健な推定量を高次元化し,それに基づいて検定統計量を構築した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高次元線形回帰モデルにおける2グループ間の差異検出について,当初は最適性の導出完了までを予定していたが,通常の高次元線形回帰よりも状況が複雑であり,特に割り当て確率の扱いが難しく,完了までは至っていない.一方で,高次元平均ベクトルに関する検定問題の一般化のように,当初は予期していなかった重要な研究課題も見つかった.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,高次元線形回帰モデルにおける2グループ間の差異検出について,予測誤差の最適性について研究を進める.具体的には,Fanoの不等式に基づき,条件付き相互情報量を評価することで,予測誤差のminimax最適なレートを導出する.
高次元平均ベクトル間の大域的差異検出について,導出した検定統計量の高次元漸近枠組みにおける性質を求める.特に検定に必要な帰無仮説の下での漸近分布の導出を行う.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により,参加を予定していた2件の国際学会(オーストラリア・香港)がキャンセルされた.それによって未使用額が生じた.未使用額は高次元データ解析・情報理論・因果推論関連の書籍の購入費,PC関連の購入費に当てるとともに,当初は予定していなかった新しい研究課題を進めるために,科研費の補助事業期間延長申請も視野に入れている.
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Research Products
(3 results)