2020 Fiscal Year Research-status Report
Developments of nonparametric regression
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18K18011
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
吉田 拓真 鹿児島大学, 理工学域理学系, 准教授 (80707141)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 分位点回帰 / ノンパラメトリック平滑化 / 極値統計学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は主に(i)高次元分位点回帰のノンパラメトリック法の考案, (i)極値統計学とノンパラメトリック回帰の融合研究に着手した. (i)について, まず従来の分位点回帰は, 対象となる分位点を1点固定した下で推定量を得る. つまり, 異なる分位点の情報を使うことがないので, 最終的にすべての分位点推定量を構成すると分位点の連続性が失われてしまう. つまり, 50%点と51%点で推定値ががらりと変化し, 解釈が難しくなる. この状況で高次元データを考えるとその複雑さは想像以上のものとなる. 代表者はこの分位点の連続性を考慮した新たな推定量を考案した. また, 考案手法をスパースモデリングに拡張させ, 変数選択も行った. 得られた成果は統計学関連の国際ジャーナルに採択された. (ii)極値統計学とは分布の裾を解析するツールであるが, 99.5%分位点など高位の分位点の予測をするために利用できる. 代表者は多次元データに対する高位の分位点のノンパラメトリック法を考案した. 多次元データで極値推定を行うとどうしてもデータ数が少なくなり, 推定が不安定になる. その問題を克服するために, 代表者は加法モデルを適用した. 加法モデルはいわゆる次元の呪いを回避できる手法として知られているが, 極値統計に利用された研究はこれまでになかった. 加法モデルと極値統計学を組み合わせ, 統計理論を構築したのは本研究のみである. 得られた成果は統計学関連の国際ジャーナルに採択された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り, ノンパラメトリック法の高次元データへの適用と極値統計学への応用研究が進んでいる. 本年度は2編の論文が国際ジャーナルから出版された. そこで発表された研究をさらに組み合わせ, 高次元極値統計学へ発展させる可能性も見えてきた. また, 本年度は主に分位点を対象に研究を行ったが, 同じことはexpectile, extremile, 期待ショートフォールなど, 分位点に近いリスク評価基準にも発展できそうである. 現在はノンパラメトリック法と極値統計学の両方に詳しい海外研究者とコンタクトを取り, 共同研究を進めている. このように, 本年度は研究の論文発表も実現し, さらに次年度への構想も考えることができている. よって, 本年度の進捗を“おおむね順調に進展している”と判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は高次元極値統計学のノンパラメトリック平滑化を軸に研究を行う予定である. 高次元となると, 多くの変数から重要な少数の変数をピックアップする方法の利用が一つの主流な考えであるが, 後述するように極値統計では特にこのアプローチは重要である. そのための方法の中で特に超高次元データの初期解析として知られるスクリーニングと呼ばれる方法を考えている. これは変数をひとつずつ適用し, それぞれの重要度を測る. データ数が少なくなりがちな極値統計ではひとつでも変数を減らすことは重要で, スクリーニングはあくまで低次元データの解析からなるので, データ数の減少を抑えることができる. 平均回帰ではスクリーニング法の理論は確立しているので, そこで成り立つ理論的性質を極値統計学に発展させるのが目的となる. その意味で先行研究は豊富にあり, あとは数値検証でうまくいくことがわかれば研究達成となる. このように, 研究の道筋は示せており, 遂行のめどは立っている.
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Causes of Carryover |
2020年度は新型コロナウィルス感染拡大の影響で, 参加を予定していた国際会議(Joint Statistical Meeting 2020, CMStatistics 2020), 国内学会(統計関連学会連合大会, 科研費シンポジウム等)への旅費, 参加費分の予算が余ってしまった. その影響もあり, 2020年度は理論研究と新規テーマの開拓に没頭し, インプットに多くの時間を充てた. 2021年度は2020年度で得られた成果を広く発表する予定である. 国際会議は未だに対面での開催めどは立っていないが, 国内学会は徐々に対面開催が増えてきているため, そのための旅費に充てたい. また, 学生アルバイトの資金, 図書の購入費用にも充てたい.
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