2018 Fiscal Year Research-status Report
確率微分方程式モデルの正則化逐次推定手法の考案およびその実装
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18K18012
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Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
清水 優祐 城西大学, 理学部, 助教 (80805218)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | SDEモデル / 逐次推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、大規模高頻度データ確率微分方程式(SDE)モデルの正則化逐次推定量を構成し、その漸近挙動の解明と計算機上での実装が目標である。また、確率近似法の一応用として長年に亘って発展してきている逐次推定論と、数理統計学の長い歴史から見ると比較的新しい分野である正則化推定論および、確率過程論とを相互にリンクさせる研究である。そこで本年は、SDEモデルと逐次推定論および、正則化推定論に関する文献調査と、最新の動向調査を重視した。その結果、ベイズ推定を用いたロバスト性を持つ時系列解析に応用できる可能性があることが判明した。これについては、現在共同研究へ発展している。また、統計解析ソフトウェアRを用いて、SDEモデルの逐次的な推定方法による数値シミュレーションを行った。その結果、パラメータの初期値により推定の精度が異なることが判明した。一般の逐次推定は、初期値によらず強一致性や最適化法による推定量と漸近同等であることが保証されていたが、SDEモデルのパラメータ推定では、パラメータ空間に制約を課すことが必要であるという新たな知見が得られた。これについては現在考察中である。現在は拡散パラメータに焦点を当てているが、ドリフトパラメータを含む簡単なSDEモデルに対しても数値実験を行ったところ、段階的な推定であれば可能であると予想された。パラメータの次元を大きくするなどし、複雑なモデルに対して同様の数値実験を行っていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
交付申請書の研究方法に記載した手法では、強一致性や、最適化法による推定量と漸近同等であることを示すためには、強い条件をおかなくてはならないことが判明した。その条件の緩和のために考察を続けているため、当初の研究計画よりやや遅れているといえる。しかしながら、当初は理論を裏付けるために予定していた数値実験を前倒しで行ったことで、問題点が明確となった。また、問題解決のために視野を広げたことで、本研究の新たな応用先を見つけることもでき、現在は一部共同研究に発展している。総合的にはやや遅れているといえるが、計画を微修正することで対応可能であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
考案する推定量に対する強一致性や、最適化法による推定量と漸近同等であることを保証する条件の精査を含めて、今後も引き続き最新の動向を調査していく予定である。また、パラメータ空間に制約を課すことで、SDEモデルの逐次的な推定手法が可能であるかどうかを、数値シミュレーションにより確認する。拡散パラメータとドリフトパラメータを含む、より複雑なSDEモデルに対して、段階的な推定の考案も予定している。ベイズ推定を用いたロバスト性を持つ時系列解析に応用できることが判明したため、共同研究として取り組んでいく予定である。
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Causes of Carryover |
当初は国際会議への参加と講演を予定していたが、研究計画がやや遅れていたため、参加を取りやめた。その結果、旅費の面で差額が生じた。これについては、今後の海外渡航費として使用する予定である。また、計算負荷のかからない数値実験がメインであったためパソコンを購入しなかったが、今後の数値実験は計算負荷が比較的大きなものになるため、差額は物品費として将来的に使用する予定である。
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