2020 Fiscal Year Research-status Report
集団スポーツのフォーメーション形成に対するドロネーネットワーク法の確立
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18K18013
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
成塚 拓真 中央大学, 理工学部, 助教 (60803616)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 運動モデル / スペース評価 / パス回しネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は以下の2つのテーマに取り組んだ (1) サッカーなどにおいて,ある選手のt秒後の到達位置を予測するモデルは運動モデルと呼ばれる.これまでに,運動方程式や機械学習に基づく様々なタイプの運動モデルが提案されてきたが,その妥当性は十分に検証されてこなかった.前年度に提案したサッカーにおけるスペース評価の枠組みにおいて,運動モデルは重要な役割を果たすため,運動モデルの妥当性の検証を行った.検証の対象とした運動モデルは,Fujimuraらによって提案された運動方程式に基づくモデルである.この運動モデルに対し,Jリーグのトラッキングデータを用いて,到達領域の形状の妥当性,運動能力係数の妥当性という2つの観点から特徴づけを行った.検証の結果,Fujimuraの運動モデルは妥当な到達領域を予測できる一方,運動能力係数の観点からは限界も示唆された.本研究成果は第10回スポーツデータ解析コンペティション,および物理学会において発表した. (2) 様々な球技に対するパス回しネットワークにおいて,共通する性質の特徴づけを行った.具体的には,パス回しネットワークのエッジの種類数の時間発展に対し,優先的選択を課した数理モデルを提案し,その解析を行った.この数理モデルには優先的選択の程度を表すパラメータが含まれている.サッカー,バスケットボール,ラグビーに対して実データおよび数理モデルの解析を行った結果,このパラメータによってそれぞれの球技が特徴づけられることを明らかにした.本研究成果はPhysical Review E誌に掲載された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度実施したサッカーにおけるスペース評価の研究から発展した研究課題で成果を残すことができた.以上より,おおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
運動モデルの妥当性の検証結果から,運動モデルを修正する必要があることが明らかになった.そこで,トラッキングデータから運動方程式の形を推定し妥当な運動モデルを構築することを目標とする.また,ドロネーネットワーク法とスペース評価の手法に基づき,選手やチームのパフォーマンス評価など実践的な応用手法を提案する.
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染症の蔓延に伴い,旅費等の支出がなくなったため.次年度使用額については,主に図書費,論文投稿費用に充当する.
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