2018 Fiscal Year Research-status Report
マルチチャネル通信を利用した屋内BLE, ZigBee測位の精度向上に関する研究
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18K18041
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石田 繁巳 九州大学, システム情報科学研究院, 助教 (10724388)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | センサネットワーク / センサ測位 / 測位システム / フィンガープリント法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,BLE(Bluetooth Low Energy)やZigBee(IEEE 802.15.4)などの省電力無線通信技術を用いた屋内測位精度の向上を目的としている.BLEやZigBeeなどの省電力無線通信技術は帯域幅の狭い通信方式であり,屋内環境のような壁や天井などで複雑に反射した電波が入り交じるマルチパス環境においては通信周波数毎に受信特性が大きく変化する「周波数選択性フェージング」の影響を受ける.これを利用し,本研究では無線通信の複数のチャネルで測定した受信信号強度(RSS)を用いて測位精度を向上させる測位方式を提案している.チャネルの切り替えには送受信機間での同期が必須であり通信オーバーヘッドが大きくなることから,WiFiの広帯域信号を複数のZigBeeチャネルで検出してそのRSSから測位を行う方式を開発した.WiFi信号の帯域幅は20MHzあるのに対してZigBeeの帯域幅は2MHzであり,チャネルの間隔を考慮しても1つのWiFiチャネルは4つのZigBeeチャネルと重なっている.これを利用して,同一のWiFi APが送信した信号を複数のZigBeeチャネルで検出してそのRSSを測定することでWiFiチャネル内での信号強度の差を特徴量として取り入れ,測位精度を向上させる.ZigBeeチャネルの切り替えには無線回路の再起動のために一定の時間を要することから,複数のZigBeeチャネルで同一のWiFi信号を測定することはできない.WiFi APの送信するビーコン信号と自律的に同期を取りながら同一のWiFi APから送信された信号のRSSを複数ZigBeeチャネルで測定する技術を開発した.少数のZigBeeセンサノードを用いて実証評価を行った結果,1つのZigBeeチャネルで測定したRSSを用いる場合と比べて測位精度を約15%向上できることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は異なる無線通信方式の周波数帯域幅の差を利用して測位精度を向上させる技術の開発を行うものである.通信方式の異なる無線機間でのある種の通信を行う技術を開発した上で受信信号強度を測定し,これを用いて測位を行う.当初の予定では初年度は2.4GHz帯を利用するZigBeeノードを用いた測位方式の基盤技術を確立することとなっており,この目標は達成されていることからおおよそ当初の計画通りに進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画通り,BLE(Bluetooth Low Energy)などを用いた方式への応用を進める.BLEではチャネルを制御することが困難であることを考慮し,正確なチャネル制御を伴わない形での測位精度向上を目指す.また,BLEのようにチャネルを順次切り替える方式では異種無線を用いずとも疑似的な広帯域信号を得ることができることに着目し,前年度に開発した技術をBLE同士での信号強度測定を利用した測位に応用することも目指す.
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Causes of Carryover |
H30年度はプロトタイプ実装を用いた中規模な実証評価を行う予定であったが,提案の効果を確認しやすいマルチパス環境としてまずは小規模な場所を選択して実験を行った.少数のノードでの実験を行い,中規模な実験は次年度以降に持ち越すこととしたため次年度への繰り越しが発生した.また,投稿論文の査読の大幅な遅れに伴って採録決定後の支払いが年度をまたがってしまったために次年度への繰り越しが発生した.
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Research Products
(5 results)