2019 Fiscal Year Research-status Report
マルチチャネル通信を利用した屋内BLE, ZigBee測位の精度向上に関する研究
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18K18041
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石田 繁巳 九州大学, システム情報科学研究院, 助教 (10724388)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | センサネットワーク / センサ測位 / 測位システム / フィンガープリント法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,BLE(Bluetooth Low Energy)やZigBee(IEEE 802.15.4)などの省電力無線通信技術を用いた屋内測位精度の向上を目的としている.BLEやZigBeeなどの省電力無線通信技術は帯域幅の狭い通信方式であり,屋内環境のような壁や天井などで複雑に反射した電波が入り交じるマルチパス環境においては通信周波数毎に受信特性が大きく変化する「周波数選択性フェージング」の影響を受ける.これを利用し,本研究では無線通信の複数のチャネルで測定した受信信号強度(RSS)を用いて測位精度を向上させる測位方式を提案している. 本年度は提案手法を実用性のあるものとするための研究開発を行った.具体的には,提案手法をそのまま適用すると環境によって最大誤差が大きくなる場合があるという問題があることが明らかになった.この問題の解決策として,2段階チャネル区別BLE測位手法を提案し,その評価を行った.2段階チャネル区別BLE測位手法では,従来のようにチャネルを区別しないで測位を行う手法とチャネルを区別する測位を組み合わせることで最大誤差を小さくしながら平均の測位誤差を小さくすることを可能とする.また,周波数選択性フェージングの影響は複雑な屋内環境において大きくなることから,提案手法を適用できるのは複雑な屋内空間に限られる.このことを検証するため,本年度は新たに実験を行い,屋内環境においても複雑でない環境など提案手法の有効性がどこまでの範囲で適用できるかを検証した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は異なる無線通信方式の周波数帯域幅の差を利用して測位精度を向上させる技術の開発を行うものである.通信方式の異なる無線機間でのある種の通信を行う技術を開発した上で受信信号強度を測定し,これを用いて測位を行う.当初の予定では実用化に向けた発展的課題に着手するとなっているが,研究開発を進める中で実用化に向けて避けて通れない「測位誤差が著しく増加する場合がある」「どのような環境で適用できるか明らかでない」という問題が発覚し,これを解決するための研究を行った.このため,実用化に向けた課題解決という目標は達成されていることからおおよそ当初の計画通りに進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画では想定していなかった新たな課題が明らかになっていることから,この解決を最優先とし,他の無線モジュールへの拡張よりも先に実用化に向けた課題を解決することを目指す.その結果として真に利用可能な屋内測位システムの開発を行うことを目指す.
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Causes of Carryover |
R1年度は当初想定とは異なる課題が明らかになり,この解決に向けた研究開発を行ったため当初計画で購入予定であった物品の購入を一部見送った.新たな課題に対する研究開発の成果はR2年度開催の国際会議へ採択されており,この発表に必要な経費として使用する予定である.また,本成果をまとめ論文誌として投稿することも計画しており,この掲載料として使用する予定である.
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Research Products
(6 results)