2019 Fiscal Year Research-status Report
母語と環境情報を活用した名前解決支援システムの設計と開発
Project/Area Number |
18K18042
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
根本 貴弘 東京農工大学, 学内共同利用施設等, 助教 (20737944)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 名前解決システム / 文字列照合 / 国際化文字列 / IoT / サービスディスカバリ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,実空間中のモノをインターネット上の情報資源として参照する際の利用者の負担軽減を考慮した参照支援手法として,母語と環境情報を活用した名前解決支援システムの設計と開発を行う.今年度は,簡略化された名前による情報資源の参照支援のための基盤システムの開発と前年度に設計した文字列処理手法の再評価に取り組んだ.システム開発では,前年度に設計した母語及び環境情報を用いた識別子と開発した文字列処理ライブラリを実装し,母語による簡略化された名前から利用者が意図した情報空間中のモノを正しく参照することを支援するための基盤システムの開発を行った.今年度は本基盤システムを構成する1)モノ制御機構,2)パーソナライズされた問い合わせ情報生成機構,3)ドメイン名を一意に識別するための名前解決機構,4)モノを一意に識別するための名前解決機構の4つの機構のうち2) ,3) ,4)の開発を行い,1)については既存のIoT機器を代用し,2) ,3) ,4)の機構を用い,1)のIoT機器を参照可能であるか評価を行った.また文字列処理手法の再評価については,前年度に課題となっていた日本語以外の文字への評価を行うために,世界中の文字を収録することを目的とした国際文字集合の全文字コードに対し,本文字列処理手法の比較をとることで日本語以外の文字も対象とした評価の取り直しを行った.なお,本文字列処理手法が参照する標準化された国際化技術が国際文字集合の最新版に未対応であったことから,標準化された国際化技術が最新版の国際文字集合を扱うことが可能か調査を行い,その結果を用い標準化された国際化技術で最新版の国際文字集合を扱うための標準化文書の草案を執筆し,国際標準化会議に提案を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の達成目標は,前年度課題となった文字列処理手法の再評価及び初年度に設計した母語及び環境情報を用いた識別子と開発した文字列処理ライブラリを実装し,簡略化された名前から利用者が意図した情報空間中のモノを正しく参照することを支援するための基盤システムの構築として,1)モノ制御機構,2)パーソナライズされた問い合わせ情報生成機構,3)ドメイン名を一意に識別するための名前解決機構,4)モノを一意に識別するための名前解決機構の4つの開発を進めることであった.基盤システムの2) ,3) ,4)の開発は完了し,開発が完了していない1)については既存のIoT機器が代用可能であったことから,次年度に予定している利用環境を想定したシナリオを用いた評価が実施可能であり,今年度の目標はおおむね達成できている状況である.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,これまでに設計及び開発した各機構を連携させた基盤システムを利用し,母語による簡略化された名前と環境情報を連携することで,利用者が入力する簡略化された名前から利用者が意図した情報資源の参照が行えるか,利用環境を想定したシナリオを用いた評価を行う予定である.なお,今年度は新型コロナウイルスの影響により,3月に参加を予定していた国際会議がオンライン開催となったことから,次年度も研究発表の場がオンラインとなる可能性があるため,口頭発表に加えデモ発表等もオンラインで行えるよう発表環境も整え,研究成果の公表に向けた準備も行う予定である.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により参加を予定していた国際会議がオンライン開催となったことによる旅費とモノ制御機構の開発に遅れが生じ既に所有していたIoT機器を代用したことによるモノ制御機構開発のために計上していた消耗品費等により差額が生じた.生じた差額については,次年度も研究発表の場がオンラインとなる可能性があることを踏まえ,オンライン上で研究成果の公表を行うための環境構築に必要となる物品,また,当初複数拠点での実験を想定していたシナリオを用いた評価では,外出自粛要請等が再発した状況下でも研究を遂行できるように仮想的な実験環境を構築するためのネットワーク機器の購入等に使用する計画である.
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