2018 Fiscal Year Research-status Report
レーザを用いてセンサに誤情報を挿入する攻撃とその対策に関する研究
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18K18047
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
菅原 健 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (60785236)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | セキュリティ / センサー |
Outline of Annual Research Achievements |
ディジタル機器が現実世界とのつながりを強化することで,新たな付加価値を創出する技術的潮流がある.その中で,センサーは,ディジタル機器が現実世界を観測するための目の役割を持つ.それに対し,センサーをアナログ領域で騙す攻撃の脅威が指摘されている.そのような攻撃は,自動運転車などの応用において大きな脅威となる.従来の情報セキュリティ技術は,ディジタル情報のみを対象とするため,そのようなアナログ領域での攻撃への対策にはならない.本課題は,レーザ照射がセンサに誤情報を挿入する攻撃手段になりうるという着想により立案したものである.将来の脅威に備えるために,攻撃の脅威を予め明らかにするとともに,先手をうって対策法を構築することを目的とする.2018年度は,当初の計画の通り,脅威分析と実験環境構築を行った.
基礎実験を行い,レーザー照射によるセンサへの誤信号挿入が可能であることを実証した.この結果を元に系統的な脅威分析を行い,対象のセンサ,レーザの利用法,および攻撃シナリオをまとめた脅威リストを得た.本内容を元に,アプリケーションレベルの脅威を実証することを含む科研費・国際共同研究強化(A)「レーザを用いてセンサに誤情報を挿入する攻撃のアナログサイバーセキュリティ」を立案し,採択を受けた.
加えて,脅威を実証するための実験を行うための実験環境を構築した.すなわち,レーザーシールドボックスにレーザモジュール,カメラなどを設置し,評価ボードに対してレーザーを照射できるセットアップを構築した.また,照射するレーザーに動機して評価ボードからデータ取得を行うためのプログラムを開発した.本実験環境を用いた基礎実験として評価ボードの特性を計測するための基礎実験を行い,研究成果を2018年電子情報通信学会ソサイエティ大会にて発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
外部機関の装置の貸与を受けることで,2019年度に実施予定であった実証実験の基礎的な部分を2018年度内に行うことができた.それにより,攻撃が実際に可能であることが1年前倒しで検証できた.その成功により,センサーという部品レベルでの研究だけでなく,センサーを用いるアプリケーションレベルの攻撃・防御に関する研究に発展させる目途が立った.また,アプリケーションレベルの研究を行うための予算と共同研究者を,科研費・国際共同研究強化(A)の枠組みで獲得することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画の通り,2019年度には,攻撃の実現可能性検証と,攻撃者のモデル化を行う.そのために,2018年度の成果として得た脅威リストと実験環境を用いて,攻撃の脅威を定量化するための実験を行う.また,レーザの変調方式や照射位置などのパラメータを変化させながら実験を繰り返すことで,攻撃者がどれだけ精密に妨害信号を制御できるかを明らかにし,攻撃者モデルとしてまとめる.並行して,センサーへの攻撃がアプリケーションに与える影響を科研費・国際共同研究強化(A)の枠組みで研究し,そこで得られた知見を本課題にフィードバックする.
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Causes of Carryover |
国内出張の回数が当初の予定よりも少なかったため残額が生じた.それらは,2019年度の成果発表において使用する見込みである.
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Research Products
(1 results)