2021 Fiscal Year Annual Research Report
Large-scale Fluid Simulations for Computer Graphics
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18K18060
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
安東 遼一 国立情報学研究所, コンテンツ科学研究系, 助教 (50784881)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 数値流体力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度では、共同研究を通して液体計算のレベルセット法の移流精度を向上させるための新しいアルゴリズムに関する理論構築及び開発を行った。この研究テーマは、液体の界面追跡に関する研究であり、レベルセット法は本目的のため広く実用化されている。 しかし、レベルセット法は移流時に数値拡散を伴う問題があり、その問題解決のために様々なアルゴリズムが他の研究者によって開発された。例えば、移流に伴う変微分方程式の空間微分の離散化の精度を上げる手法、補助粒子を用いた方法などがある。 どれも一定の効果を得られるが、計算コストが高かったり、メモリ使用量が増大してしまうなどの副作用があった。本研究では、新たに Characteristic Maps という概念を利用し、時間方向の情報を取り入れ、移流の数値拡散を抑えるという手法に取り組んだ。 また、この概念を単純に適応すると、局所的に発生する空間の歪みに起因する数値不安定性が発生するので、空間を一定の大きさの間隔で区切り、その間隔毎にアルゴリズムを適応するという手法を適応した。 結果的に、本手法は従来手法と比べて視覚的に良好な結果を得られ、例えば薄い水の膜を長時間保持することに成功した。また計算時間も実用範囲内に抑えられ、比較的大きなスケールでのシミュレーションにも対応可能なことが示された。本研究成果は液体の界面追跡に限らず、レベルセットを用いた工学分野で広く実用可能と考えられる。本研究結果は国際学会に投稿予定である。
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