2020 Fiscal Year Research-status Report
線形反復ソルバーに対する平滑化技術の革新と最適化アルゴリズムへの応用
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18K18064
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
相原 研輔 東京都市大学, 情報工学部, 講師 (70735498)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 大規模連立一次方程式 / 線形行列方程式 / クリロフ部分空間法 / 積型Bi-CG法 / 平滑化技術 / 丸め誤差解析 / 最適化アルゴリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は,前年度に引き続き,線形反復ソルバーに対する平滑化技術の拡張に取り組んだ.具体的には,複数の右辺項を持つブロック型の線形方程式やシルベスター方程式などの行列方程式向けの反復ソルバーに対し,新しい平滑化技術により収束性を改善する手法を提案した.研究成果の一部は,日本応用数理学会2020年度年会,同学会「行列・固有値問題の解法とその応用」研究部会単独研究会および研究部会連合発表会において口頭発表を行った.ただし,丸め誤差解析や数値実験については再考が必要となったため,前年度より執筆していた学術論文については,構成から見直し,あらためて投稿の準備を進めている. また,前年度に得られた積型BiCG法と呼ばれる反復ソルバー群に対する新しいフレームワークに関しては,これまでの発展の経過を論文にまとめ,日本応用数理学会が発行する機関誌「応用数理」に寄稿した.本誌の読者には,反復ソルバーの研究者や技術者も多くいるため,研究成果の幅広い周知が期待できる. 一方,リーマン多様体上の最適化アルゴリズムへの応用については,前年度に引き続きアルゴリズムの数値的安定性に関して研究協力者と議論を重ねた.今後,学会等でその経過を発表する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題の目標の一つである,平滑化技術の拡張(ある種のブロック化)について,前年度までに基盤となる理論は構築できていたものの,その後,丸め誤差解析や数値実験については検証中であり,学術論文の投稿には至らなかったため.また,もう一つの目標である最適化アルゴリズムへの応用に関しても,十分に進展させることができなかったため.研究が遅れている要因の一つとしては,新型コロナウィルス感染症の影響により,十分な活動が行えなかったことが挙げられる.
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に引き続き,平滑化技術の拡張に関する学術論文をまとめ,確固たる研究成果として発表することを目標とする.また,最適化アルゴリズムへの応用に関する研究についても,統計手法などとの関連も意識しながら,新しい知見が得られるよう引き続き検討を重ねる.
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の影響により,2020年度に参加を予定していた国際会議および国内会議のほぼすべてがオンラインでの開催または延期となったため,当初の予定から旅費や参加費に関する未使用額が生じた.残額は2021年度に研究成果の発表に伴う諸経費として使用する予定である.
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