2018 Fiscal Year Research-status Report
自己効力感の生起によるメンタル機能調節システムの研究
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18K18090
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 成朗 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 助教 (40808531)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 自己効力感 / 音声フィードバック |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、自身が上手く行動できているかのような擬似的な体験を通して、より良いパフォーマンスを発揮できると思える「自己効力感」を生起し、メンタルを由来とする、モチベーションの維持や、パフォーマンスの改善を図る工学的手法を構築することである。 当初は、「擬似的な成功体験による自己効力感の生起」として、バーチャルリアリティ技術を使って生成した擬似的な成功体験を、自身の行動の結果と結びつけることで自己効力感を生起させ、運動のパフォーマンスを向上させる手法の研究を予定していた。しかし、研究のために使用する予定であった機材(モーションキャプチャシステム)が一定期間使用できなくなることが判明したため、次年度以降に予定していた「生理的・身体的表出の擬似的な変化による自己効力感の生起」を目的とした研究を先に始めることにした。 そして、自己効力感の生起要因である「情動的喚起の情報」に注目し、他者とのコミュニケーションにおいて、上手く話せている、自信を持って話せているといった自己効力感を生起することで、心理的緊張感の軽減や、円滑な会話を促進する手法の構築を行った。緊張状態を緩和する音声変換手法の構築とフィードバック実験の結果については国内学会で口頭発表を行った。また、自信を持って話せている声に変換する音声変換手法の構築にも着手し、その構成手法についてはHCI分野のトップ国際会議にてポスター発表を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
緊張緩和のための音声変換手法の構築やそれを使ったユーザーテストを実施し、その結果について学会発表を行うことができた。その上、自分が自信のあるように話せているような音声変換手法の構築に着手することができたため、おおむね順調に研究が進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、自信持って話しているようにフィードバックする音声変換手法を用いたユーザーテストを実施する予定である。そして、ユーザーインタビューや行動観察による定性的な評価や、アンケートや生理計測を用いた定量的な評価を通して、ユーザーの心理状態や、行動にどのような影響を与えるのか評価していく予定である。 また、自己効力感の生起要因である「遂行行動の達成」に注目し、VR技術を用いて生成した、 良いパフォーマンスが発揮できているという擬似成功体験を、自身の身体動作の結果であると違和感を覚えさせずにフィードバックする手法の構築に着手する予定である。
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