2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K18092
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
上間 裕二 大阪府立大学, 研究推進機構, 客員研究員 (20713671)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 瞬目 / 認知負荷 |
Outline of Annual Research Achievements |
人のまばたき(以後,瞬目)は視覚情報処理や認知機能と関連していることが報告されており,認知課題実施中などの認知負荷が高い状態では,安静状態と比較して瞬目数が少なくなる傾向が知られている.このような現象に着目し本研究では,瞬目の中でも自発性瞬目に基づいて人の集中度を定量的に評価する手法を構築し,構築した評価指標を用いて人の内外の入力に対する集中度の変化を調べることで,集中状態を生起させる因子については明らかにすることを目的としている. 令和元年度では,まず瞬目や視線移動などの眼球運動に関する個人差の評価を行った.具体的には,予め設定されたタイミングで提示される視覚刺激と同期して瞬目や視線移動を行ってもらい,カメラ型の視線追跡装置および眼電位法による眼球運動計測を行った.実験の結果,同一刺激に対して個人差が存在することが示唆された.また,眼電位法により計測する瞬目に関して,瞬目波形の視線依存性に関して調べた.検討の結果,瞬目の波形から視線方向が推定し得ることが示唆された.以上の検討は,本研究で試みる眼球運動に基づく集中度推定に関して,その推定精度を向上させるための重要な知見となる. 次に,認知課題実施中の集中度評価に関する被験者実験を実施した.認知課題として計算課題を採用し,安静時間をコントロールとして認知課題取組中との比較を行った.比較指標として脳血流,心拍,自覚指標を併せて計測し検討に用いた.予備実験の結果より,傾向として先行研究と同様に認知課題実施中の瞬目が減少することを確かめた.また,本実験については約半数の被験者に関して既に実験を終了しており,残り半数に関しては令和2年度に継続する. さらに,本研究を遂行する過程で集中度評価の指標とした自律神経活動と瞬目や眼球運動の相関性を調べた結果,疲労度により本研究で用いる集中度推定手法適用範囲を定義しうることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究当初の予定通り,眼電位法を利用する試作システムを用いて安静中や認知課題実施中における瞬目や眼球運動の振る舞いの変化が計測可能であり,眼球運動を用いた集中度を定義し推定しうることを確かめた.また,推定精度を向上するために,眼電位法の計測値の個人差や,瞬目波形の視線方向依存性についても検討を進められた. 以上より,研究は概ね順調に進展していると考えている.また,本研究では,最終的にはメガネ型ウェアラブルデバイスと携帯端末による集中度計測および集中度の維持や変容が可能なシステムの構築を目指しており,実社会アプリケーションとしての発展を意識した研究開発を行っている.
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は,認知課題タスクに関する被験者実験を継続する.特に,複数回実施する認知課題のうちの一部条件では外部刺激を与えており,外部刺激が認知課題の結果や眼球運動を用いた集中度推定にどのように影響するか詳しく検討する.また,眼電位法による瞬目計測について,視線方向依存性について更なる検証を進め,集中度推定に関する精度向上を試みる.
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Causes of Carryover |
実験環境構築に関して一部修正を行ったため,当初購入を予定していた消耗品の一部が不要になったため.これらの助成金は令和2年度の実験に利用する消耗品購入に用いる予定である.
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Research Products
(3 results)