2019 Fiscal Year Research-status Report
話者の意図を適切に伝達可能な多言語間対話支援環境構築に関する研究
Project/Area Number |
18K18096
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
福島 拓 大阪工業大学, 情報科学部, 講師 (40714829)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 多言語間コミュニケーション支援 / 医療分野 / 多言語用例対訳 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度の具体的な研究成果は下記の通りである. まず,話者の意図伝達を目的とした多言語間対話支援環境の検討を実施した.本研究では,用例対訳,および,メディア複合型対話様式を用いることで,医療分野において正確な意図の伝達を支援可能な環境の実現を目指している.このアプローチでは,正確性を高めるために,主に閉ざされた質問を用いた対話を想定していた.しかし,この環境のみでは,支援対象者である患者の安心のための対話を十分に支援できない可能性が顕在化した.このため,本年度の当初課題であった組織知の収集と合わせて,開かれた質問から閉ざされた質問への誘導について検討し,実装を行った.また,患者と医療従事者間にある文化差への対応についても検討を開始した. 次に,意図の伝達を適切に行うべき領域として,国独自の伝統的なものの伝達支援の研究も開始した.この研究では,医療分野以外に存在する文化の違いの伝達を目的としており,対象を日本独自の食べ物である和菓子としている.和菓子は訪日外国人に人気がある.しかし,日本独自の食べ物であるため,その味や食感を適切に伝達することが難しいという課題が存在していた.本年度は,システムを構築し,日本の和菓子屋を訪れた外国人観光客と対象とした試用実験を行った.実験から,システムを用いることで甘さの度合いや味を伝達できることを示した.しかし,食感については適切な伝達ができない場合があったため,次年度の課題とする.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では組織知の収集を中心に予定していたが,研究を進めていく中で,重要度の高い課題(安心のための対話,文化差への対応)が顕在化した.このため,組織知の収集も含めた3点を同時に研究実施をする形に変更している.また,広い範囲に適用可能な多言語間での意図の伝達支援を可能とするために,新たな領域として和菓子の伝達支援に関する研究を開始した. 新型コロナウイルスの影響を受け,年度末の計画が一部変更となっているものの,当初の目的を達成していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,今年度までの研究内容を実環境へ適用し,研究内容のまとめを行う.ただし,新型コロナウイルスの影響により,規模や内容の縮小の可能性がある.システムの改良や実施内容の再検討も含めて,情勢に合わせて柔軟に対応し,研究成果のまとめを行う.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響を受け,一部の出張取りやめを行ったことなどにより,次年度使用額が生じた.本年度の残額は,次年度で必要となる機器の購入代の一部に充てる.
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Research Products
(1 results)