2018 Fiscal Year Research-status Report
特殊球面ミラーを用いた全方向から観測可能なホログラフィック3D表示による拡張現実
Project/Area Number |
18K18098
|
Research Institution | Osaka Research Institute of Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
山東 悠介 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 和泉センター, 主任研究員 (30463293)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 計算機ホログラム / フルパララックス / 高速回折計算 / 3Dディスプレイ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ホログラフィック3Dディスプレイにおける狭い視域を拡大させることで十分な運動視差を実現すると共に、3Dディスプレイの潜在的可能性を示すため、実在物体に対し仮想物体を重畳表示する拡張現実の実現を目指すものである。本年度は、視域を拡大させる手法として、これまでに取り組んで来た凸型放物面鏡を用いた手法の発展と機能性光学素子として注目されているフォトポリマーを用いた光学素子の作製に取り組んだ。具体的な内容を以下に記載する。 凸型放物面鏡による反射を用いることで視域を格段に拡大できることは、これまでの研究で明らかになっていたが、放物面鏡での反射を適切に考慮したホログラムを高速に計算することが課題であった。そこで本研究では、波面を区画分割し、それぞれの波面に対する局所的光学系を解析した。その結果、近軸近似が成立する条件下では、従来の回折結像理論をそのまま適用することができ、最終的には高速フーリエ変換を用いた高速回折計算が可能となることを立証した。物体の標本点数にも依存するが、100倍以上の高速化を達成した。この結果について、学会発表を行った。 拡張現実を実現する一つの手法として、フォトポリマーを用いた機能性光学素子を作製するため、フォトポリマー合成用の実験環境を構築した。次に、フォトポリマーを特定環境下で露光・現像処理を行い、基本性能を調べたところ、想定した波長特性を得ることができた。しかし、フォトポリマーの変調幅が小さく、最終的な光利用効率が想定よりも低いことが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は、フォトポリマーの基本性能評価を終え、且つ、フォトポリマーを用いた機能性光学素子が完成し、ホログラフィック3Dディスプレイへの応用に着手している予定であった。しかし、実際には、合成したフォトポリマーの光利用効率が低く、3Dディスプレイに応用できる段階には至らなかった。この点に関しては、次年度も引き続き効率改善に取り組む予定である。一方、ホログラムの高速計算については、予定通りの進捗であった。さらに、3Dディスプレイシステムとしての理論的性能評価も行うことができ、当初予定していなかった学会発表も行うことができた。これらを踏まえて、おおむね順調と評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度の課題として、フォトポリマーを用いた機能性光学素子の光利用効率の低さがあげられる。来年度は、この課題について重点的に取り組む。具体的には、フォトポリマーの合成方法や露光条件の最適化、また、市販のフォトポリマーとの比較検証も行いたい。本課題が解決した後、ホログラフィック3Dディスプレイ用に特化した光学素子を作製し、拡張現実の実演を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
計画当初では、GPGPUが使用可能な専用の計算機を購入する予定であったが、ホログラムの高速計算アルゴリズムを開発した結果、現状の計算機でも十分に使用できることが分かったため、購入を見送った。逆に、フォトポリマーを用いた機能性光学素子の作製に関しては、研究の進め方を再考し、市販のフォトポリマーを購入する必要が生じた。次年度への繰越金については、市販のフォトポリマー購入に用いる予定である。
|
Research Products
(6 results)