2018 Fiscal Year Research-status Report
ダイナミクスモデルによるドライバ間の意思決定スキームの構築
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18K18103
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山口 拓真 名古屋大学, 未来社会創造機構, 特任助教 (30745964)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | インタラクション / PWARXモデル / 運転行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、狭路におけるすれ違い運転などの他者(対向車、歩行者)とのインタラクションを解明するため、ダイナミクスモデルに着目してその行動を解析した。 対象とするタスクとして、狭路における駐車車両付近の対向車とのすれ違いを選択した。このタスクにおける戦略としては、相手に道を譲り減速する、あるいは相手より先に進むの二種類存在する。また、相手も同様の戦略を取ることができ、スムーズなかつ安全な運転を実現するためには、どちらかが道を譲り、もう一方が先に進む必要がある。互いに相手とは直接的に意思疎通できないため、相手の行動から自分の戦略を決定するする必要がある。 この一連の行動を解析するため、ダイナミクスモデルとしてPieceWise ARX(PWARX)モデルを用いた。その結果、道を譲る、先に行くという運転行動をモデルとして獲得することができた。車両運転のダイナミクス自体は獲得できたものの、車両間のインタラクション自体はうまく再現できないことが多かった。これは相手の戦略を考慮せずにモデルを構築しているためである。この問題を解決するため、PWARXモデルにインタラクションを促す補正項としてスーパーバイザ制御を導入した。スーパーバイザ制御とは、禁止された状態に陥らないように制御対象を制御する手法であり、今回は観測されない状態に陥らないように加速、減速支援を行った。それにより、相手の行動に応じて自分の戦略を切り替えを促すことができ、モデルの振る舞いが実際の運転と近づくことを検証できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対象とするタスクでは二台の車両データが必要となるため、これを二台のドライビングシミュレータを用いて、マルチプレイヤー型のシミュレータを構築した。このシミュレータ上に狭路のすれ違いタスクを実装し、二人のドライバの運転行動データを取得できた。そのデータに基づきPWARXモデルを獲得でき、インタラクションの補正も実現できたため、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
インタラクションを考慮しなければ、運転行動として正しく表現できないことが分かった。この問題を解決するため、スーパーバイザ制御による補正の導入により、より実際の運転に近い行動を表現できることが分かった。しかし、この補正は議論が不十分であり、より相手の行動を明示的に考えた手法が必要となる。 この問題を解決するため、PWARXモデルに合意形成の手法を導入することにより、狭路のすれ違いタスクの表現を目指す。
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Causes of Carryover |
国際会議に投稿をしたが、不採用となってしまったため、その分の旅費および参加費用がそのまま浮いてしまった。使用計画としては、今年度にドライビングシミュレータの保守と補強費用を増やし、取得データの増大を目指す。
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