2020 Fiscal Year Research-status Report
パラメータ再定義法による自然勾配法実現を通した複雑な深層ネットワーク学習の効率化
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18K18121
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木脇 太一 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 特任助教 (70786011)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 深層ニューラルネットワーク / 医療画像分析 / 医療データマイニング |
Outline of Annual Research Achievements |
当年度は医療応用を対象とした、ニューラルネットワークの実データ応用に関して主に研究を進めた。研究成果は雑誌発表論文1-3である。まず雑誌発表論文1は、緑内障という眼病の進行予測を扱った研究である。緑内障は失明に至る可能性もある進行性の眼病であるが、治療によって進行を遅らせることが出来るため、その進行予測は非常に重要である。しかし進行予測に不可欠とされて来た眼の視野試験は、計測コストが高くまた確度にも問題があるため高精度の進行予測は困難であった。当論文の研究は計測コストの低いOCT(Optical Coherence Tomography)という計測の結果を補助情報として、視野試験結果と併せて利用することで進行予測の精度を高めることに成功したものであり、医学的な意義が大きい。私は当論文の投稿において、手法設計において基軸となった線形予測器とニューラルネットワークの組み合わせに関するアイディアを出した。 また雑誌発表論文2および3は、OCTを利用した緑内障の視野試験結果の推定問題を扱った。この問題は緑内障診断の効率と正確性向上において重要であるとともに、雑誌発表論文1で開発した手法の基礎となる点でも重要である。雑誌発表論文2では、私は手法構築における根本的なアイディアを出すとともにシステム実装へも中心的に携わることで大きな貢献を果たした。次に雑誌発表論文3では、私は執筆において手法説明部分など主要部分で大きく貢献した。 本研究計画で主な位置付けにあるニューラルネットワークの学習理論に関しては、昨年度から引き継ぎ研究遂行に必要な基礎知識習得に大きなリソースを割いたこと、また上述の応用研究にリソースを割いたことから遅れている。こちらに関しては進捗状況にて詳しく説明する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究計画の中心テーマと大きく関係する研究が18年に発表されたため、19年度に引き継ぎテーマを大幅に見直していることが進捗の遅れの主たる原因である。また不足していた基礎知識の習得に多くの時間を費やしたことも原因である。こちらに関してはニューラルネットワークの学習を考える上で近年再び注目されるカーネル法[1,2]の理論的な側面に関して知識を吸収すると共に、その理論的な基礎である関数解析などの数学分野の知識不足の解消に努めた。これらの知識面での準備は現状では成果に結びついていないものの、今後の研究を進める上では必要不可欠であると考えている。また研究実績で述べた通り応用研究へリソースを割いてしまったことも遅れの原因である。またこちらに関しては研究実績の概要で述べた事項以外に眼底写真を利用した疾病の検知へも新たに携わったが、こちらはまだ成果に結びついていない。但しこれらの応用研究を理論的な観点から捉え直せば、いずれもデータ数制限下でのニューラルネットワークの学習において汎化を達成することが目的であると言える。この問題はニューラルネットワークの学習理論における主な関心事項の一つであるため、これら応用研究で培った経験は、より理論的な研究へシフトする上で重要であると考えている。
[1] Jacot, Gabriel, Hongler. "Neural tangent kernel: Convergence and generalization in neural networks", Advances in neural information processing systems, 2018. [2] Steinwart and Christmann. "Support vector machines", Springer Science & Business Mbedia, 2008.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは基礎知識の吸収に大きく時間を割いて来たため、最新の研究動向把握には遅れが出てしまっている。今後はまず近年の論文調査を徹底的に行い、これまでの応用研究から得られた知見と合わせて残された時間で遂行可能なサブテーマを設定する予定である。また優先順位は調整しつつ、今後も引き続き眼病に関するデータを主なターゲットとして応用研究も進めて行く予定である。
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Causes of Carryover |
20年度はコロナウイルスの流行もあり学会参加を見合わせたこと、また設備購入の必要もなかったため予算を繰越した。この予算は今年度行う設備投資に充てる予定である。
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[Journal Article] Improving visual field trend analysis with optical coherence tomography and deeply-reg\ ularized latent-space linear regression2021
Author(s)
Xu, Asaoka, Murata, Kiwaki, Zheng, Matsuura, Fujino, Tanito, Mori, Ikeda, Kanamoto, Yamanishi
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Journal Title
Ophthalmology Glaucoma
Volume: 4
Pages: 78-88
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Deep learning model to predict visual field in central 1\ 0 degrees from optical coherence tomography measurement in glaucoma2020
Author(s)
Hashimoto, Asaoka, Kiwaki, Sugiura, Asano, Murata, Matsuura, Miki, Mori, Ikeda, anamoto, Yamagami, Inoue, Tanito, Yamanishi
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Journal Title
the British Journal of Ophthalmolog
Volume: 105
Pages: 507-513
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Predicting the glaucomatous central 10 degrees visual\ field from optical coherence tomography using deep learning and tensor regression2020
Author(s)
Xu, Asaoka, Kiwaki, Murata, Fujino, Matsuura, Hashimoto, Asano, Miki, Mori, Ikeda, anamoto, Yamagami, Inoue, Tanito, Yamanishi
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Journal Title
the American Journal of Ophthalmology
Volume: 218
Pages: 304-313
DOI
Peer Reviewed