2018 Fiscal Year Research-status Report
グラフ間距離を用いた時空間高解像データの解析と情報拡散制御への応用
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18K18125
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
島田 裕 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (50734414)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | グラフ間距離 / テンポラル・ネットワーク / 時系列解析 / 複雑系 / 複雑ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
SNS上での人間の活動データやE-mailなどの電子文書の送受信データなど,時間的・空間的に高解像度な時系列データが広く利用可能となっている.これらのデータは情報交換のタイミングなどの時間的性質と,人と人のつながりや発信された情報間の関係性(グラフ構造)などの空間的性質を有する.このようなデータの有する時間的性質と空間的性質を同時に扱うため,本研究ではデータのテンポラル・ネットワーク表現とグラフ間距離を組みあわせたデータ解析技法を開発することを目標としている.近年,複雑ネットワーク的性質に基づいてグラフ間の距離を測る様々な手法が提案されるなど,グラフ間の距離に関する研究がこの数年で活発化している.しかし,これらのグラフ間距離に対して,各距離の利点・欠点を明らかにする研究は行われていない状況があった.また,有向・無向グラフの双方に適用可能な複雑ネットワーク的性質に基づくグラフ間距離についての研究もほとんど行われていなかった.本年度では,我々がすでに提案している無向グラフ用のグラフ間距離計測手法を有向グラフに適用可能な形に拡張した手法を提案した.また,時間的性質と空間的性質の双方を有するネットワークの解析手法開発のための準備として,主に時間的性質を持たない"静的な"ネットワークに対して,提案手法の有効性を数値実験により示した.実験では,数理モデル・実ネットワークの双方で検証を行った.また,他のグラフ間距離との比較を通して,各グラフ間距離の特性を明らかにしつつある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り,近年提案された種々のグラフ間距離の性質に関する調査に取り組み,数値実験により各々のグラフ間距離の特性に関する調査を行った.調査はおおむね順調に進んだため,"おおむね順調に進展している"とした.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度では時間的な構造変化が無い"静的な"ネットワークデータに対してグラフ間距離の有効性を検証した.今後は時間的性質と空間的性質の両方の性質を持つデータをテンポラル・ネットワーク表現することで,これらのデータの解析にどのグラフ間距離が最も有効であるのかを明らかにする.特に,テンポラル・ネットワークの予測にグラフ間距離を応用することを念頭に,最適なグラフ間距離とはどのようなものであるのかについて調査する予定である.
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Causes of Carryover |
研究を進める過程で思いがけず得られた成果を論文にまとめ投稿した.論文投稿過程で必要となった費用を捻出するため当初当該年度に購入予定であった計算機の購入を翌年度に購入する計画に変更したため次年度使用額が生じた.
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Research Products
(16 results)