2019 Fiscal Year Research-status Report
EMGを用いたクラウド型動作推定によるアシストロボット制御の開発
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18K18135
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Research Institution | Advanced Telecommunications Research Institute International |
Principal Investigator |
古川 淳一朗 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 研究員 (50721619)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 生体信号 / アシストロボット / 運動推定アルゴリズムの検証 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、個人から得られるセンサ情報のみに頼るのではなく、多くのユーザから集めたデータを活用したクラウド型動作推定に基づくアシストロボット制御手法の構築を目指す。本年度は、多くのユーザから得た情報を活用するために情報検索に有効な特徴量を検討し、協調フィルタリングの枠組みを援用した運動推定アルゴリズムを提案した。また、提案手法の検証を行った。検証では、上肢、肩屈曲伸展(パターン1)、肘屈曲伸展(パターン2)の単関節運動において複数被験者から取得した情報をデータベースに格納し、新規被験者における肩・肘屈曲伸展(パターン3)の複合運動に対して推定を行うことで提案アルゴリズムの検証を進めた。また、検証では一般的な回帰手法であるLASSOを利用することでモデルベースの表現能力と比較した。今回、LASSOのモデルをトレーニングする際、被験者自身から取得したパターン1および2のデータから構築したモデル(A)でパターン3を推定した場合と、他の被験者から取得したパターン1および2のデータから構築したモデル(B)でパターン3を推定した際の精度と比較した。モデルAによる推定精度はモデルBよりもわずかであるが高いことが確認された。これらから、モデルベースで推定する際は利用者自身のデータでキャリブレーションする方が他の被験者データでキャリブレーションするよりも推定精度が高くなることを示していると考えられた。一方で、提案方法による推定精度を比較すると、モデルAおよびモデルBで推定するよりも精度が高くなる結果が得られた。また、真値パターンとの類似性を相関解析で検証した。その結果、モデルAによる推定値はモデルBによる推定値よりも真値との相関が高いことが確認された。これらから、提案手法の有効性が確かめられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は具体的な動作タスクにおいて、多数の被験者から計測した筋活動および運動データをもとに、提案した運動推定アルゴリズムを検証した。また、一般的な従来方法と精度を比較することで提案方法の有効性も確認できた。以上の結果より、本年度の計画は順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
個人のセンサ情報のみに頼るのではなく、他のユーザから集めた情報を利用した動作推定に基づきアシストロボットを駆動するための制御則の導出方法を検討する。また、実際にロボットを使用して提案方法の有効性を検証する。
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Causes of Carryover |
ロボット制御用のコンピュータを想定より安価で購入できたため、余剰金を次年度に繰り越すこととした。また、所属研究室にある外骨格ロボットを用いた被験者実験を予定していたが、検証中に実機の一部が破損ししたため修理作業に時間を要し、また、外部被験者実験が困難な状況となったため、当初予定していた実験用の謝金分も次年度に繰り越すこととした。次年度では、実際にロボットを使用した計測実験を行う予定である。その際、実験室内で構築した環境で、運動タスクを多数被験者に実施してもらうことにより提案アルゴリズムを評価する予定であり、その環境構築のために必要な部材を購入するとともに、外部被験者実験用謝金および生体信号などのセンサ類の消耗品に充てる。
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