2019 Fiscal Year Research-status Report
がんのエコシステム攻略に向けたブール関数上における統計的モデリング手法の構築
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18K18151
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松井 佑介 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 准教授 (90761495)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 生命情報学 / バイオインフォマティクス / 不均一性 |
Outline of Annual Research Achievements |
がんゲノム研究では、次世代シークエンサーの爆発的普及により大規模臨床データやがん組織由来1000細胞株の超大規模オミクスデータの取得と解析が進められるとともに、生存期間や治療背景などの臨床情報や、ハイスループットスクリーニング技術に基づく大規模薬剤感受性データ、CRISPR-CAS9技術に基づく細胞株の網羅的ゲノム依存性データなど表現型(フェノーム)に関わるデータも蓄積されており、これら大規模ヘテロながんビッグデータを駆使して、がんの複雑なエコシステムを描出し、さらにゲノムによるがんシステムの理解とフェノームレベルでの理解を自在にシャトルする新たな方法論が必要とされている。 従来の統計的機械学習に基づくアプローチの特徴は網羅性であり、ベイジアンネットワーク推定やスパースモデリングの基づく薬剤スクリーニングのように遺伝子の網羅的関係性や候補遺伝子の網羅的同定に有用であったが、近年課題となっているがん細胞集団が織りなす超複雑なエコシステムの描出とフェノームとの関連性解析においては、がん進化における遺伝子変異間の因果性や、薬剤スクリーニングにおけるシナジー効果を生み出す標的遺伝子相互作用の同定など、精緻性が重要であり、これまでの網羅性に立脚した従来アプローチではモデリングが困難である。さらに、生物学的な検証可能性を考慮すると、検証に膨大な時間を要する従来型の大規模モデリングから即時的な検証が可能な小規模精緻モデリングを新たに開拓していく必要がある。本年度は、多部位からのトランスクリプトーム発現プロファイルを想定し、部位間で共通性、特異性をブール関数上で同定する方法論の開発を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
学内の組織改組に伴う業務により、十分な時間を確保できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きやや遅れている計画分を遂行しつつ、計画を完了させる。具体的には、TCGA・GDSC1000等の公開データセットを用いた実装的な大規模解析を進めていく。
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Causes of Carryover |
研究計画に遅延が生じたため、その分の計算機環境維持費用、雑誌論文の英文校閲、投稿費用を計上したため
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Research Products
(6 results)