2018 Fiscal Year Annual Research Report
シングルセルイメージング/シーケンスデータの情報学的融合パイプラインの開発
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18K18152
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岩本 一成 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教 (70619866)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 擬時間解析 / シングルセルイメージング / シングルセルシーケンス / 細胞形態 |
Outline of Annual Research Achievements |
シングルセル計測技術はここ数年目覚ましく発展してきたが、異なる手法(イメージングとシーケンシングなど)で同一細胞を同時に計測する事は未だ難しい。そこで、本研究課題では、個別に取得されたイメージング/シーケンシングデータを情報学的に解析し、両データを融合するパイプラインの開発を行なう。開発したパイプラインをがんや形態異常疾患のDiGeorge症候群の要因であるCrk/Crkl遺伝子欠損マウス線維芽細胞(MEF)に適用し、Crk/Crkl遺伝子欠損に伴う細胞形状と遺伝子発現の関係を明らかにする。 今年度は、Crk/Crkl遺伝子コンディショナルノックアウトMEFを用いて、細胞質および細胞核を免疫染色し、ハイコンテントイメージングサイトメータにより細胞画像を取得した。実験は、野生型およびCrk/Crkl遺伝子欠損の2条件下で行った。得られた細胞画像はCell profilerソフトウェアで解析し、幾何図形近似法により各細胞形態を26個の指標を用いて定量化した。主な指標として、細胞の面積や真円率、充填率等を計測した。これらの指標を用いて、主成分分析による次元圧縮を行ったところ、2条件での平均的な細胞形態は異なる事が示唆され、特に細胞面積に対する寄与率が高かった。つまり、Crk/Crkl欠損により細胞面積が小さくなることが示唆された。また、一細胞レベルで同様の解析を実施したところ、2条件での差は殆ど見られず、同一条件内での細胞間の形状差のばらつきが非常に大きく、Crk/Crkl欠損による影響がそのばらつきにより隠されている可能性が示唆された。今後としては、細胞形状の定量化の手法の改善および主成分分析以外の次元圧縮法を適用し、分類精度を上げて行く予定である。
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