2020 Fiscal Year Research-status Report
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18K18153
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
前田 和勲 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 助教 (50631230)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | システム生物学 / 最適化 / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ヒト腸内細菌叢シミュレーターを開発し、腸内細菌代謝の理解に基づいた腸内細菌叢の制御を可能にすることである。2020年度は、シミュレーションモデル構築に必要な動力学パラメータ推定技術の開発を行った。
動力学パラメータ推定は計算コストのかかる問題である。これを解決するために、我々は、2018年度に、遺伝的アルゴリズムのC言語ライブラリlibRCGAを開発している(https://github.com/kmaeda16/libRCGA)。そして、libRCGAが既存のライブラリよりも性能が良いことを示した(https://www.jstage.jst.go.jp/article/ipsjtbio/11/0/11_31/_article/-char/ja)。2019年度から新しい動力学パラメータ推定ソフトウェアの開発を開始し、本年度にソフトウェアが完成した。そして、その性能評価を行った結果、競合ソフトウェアとほぼ同等の性能があることを確認した。また、解くべき問題によっては競合ソフトウェアを凌ぐ性能を発揮した。さらに、このソフトウェアを最近提案された動力学パラメータ推定問題の標準データ形式に対応させることで使い勝手を改善させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画では、大腸菌以外のシミュレーションモデルを構築し始める予定だった。しかし、実験データの少ない生物をどのようにモデリングするのか、特に、増殖速度や収率をどのようにモデリングするのかという問題を解決するのに時間がかかっている。ただし、前年度の【今後の研究の推進方策】で示した「新しい動力学パラメータ推定ソフトウェアを完成させる」という目標は達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
増殖速度や収率のモデリングには、全細胞シミュレーションが有効な可能性がある。そこで、関連する研究者と共同研究を行う。
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Causes of Carryover |
2020年度は参加予定だった国内学会および国際学会が中止されたことで旅費が余ってしまった。この繰越分は、2021年度の国際学会参加や計算環境の拡充にあてる。
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