2021 Fiscal Year Research-status Report
仮想通貨Bitcoinにおける取引履歴の解析による使用目的の識別と関連性の解明
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18K18162
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
豊田 健太郎 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 訪問助教 (60723476)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ブロックチェーン / 分散学習 / インセンティブ・メカニズム / スケーラビリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
主に2つの研究に取り組んだ。1つ目は、昨年度に引き続き、ブロックチェーンのサイズの増加に伴い、仮想通貨の取引履歴解析を効率的に行うために分散学習を用いるための基盤研究である。より正確には、仮想通貨の取引履歴解析の分散学習のためにフェデレーションラーニング (FL: federated learning) を用い、さらに参加者もしくは学習協力者に仮想通貨によるインセンティブを配布するメカニズムを提案した。昨年度は参加者が完全に利己的、すなわち自身の利得を最大化するような行動を選択するという仮定でインセンティブ・メカニズムをデザインしたが、実際の参加者は人間であるため、人間の心理に基いた行動を想定する必要があった。そこで行動経済学 (behavioral economics) を用いた参加者がより人間的な行動選択をする仮定におけるメカニズムの解析を行っている。さらに、これらの知見に基づき、インセンティブメカニズムを考慮したブロックチェーン統合型フェデレーションラーニングに関するサーベイ論文を執筆した。
2つ目は、昨年度明らかにした、Ethereumブロックチェーンの性能ボトルネックを改善する研究に取り組んだ。具体的には、shardingおよびrollupsと呼ばれるブロックチェーンの並列処理技術を用いるにあたって、Ethereumアカウントの残高の管理手法および検証に必要なデータサイズをデータ構造およびコミットメントスキームを用いることで小さく手法を提案している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記いずれの研究もおおむね順調に進展している。1つ目の研究においては、具体的には、A. TverskyとD. KahenemanによるCPT (Cumulative Prospect Theory) に基づく利得の導出および確率の重み付けをした際にどのようにメカニズムが変わるかを明らかにしている。上記サーベイ論文は現在IEEE Transactions on Parallel and Distributed Systems (TPDS) にて査読中である。また2つ目の研究では、異なるコミットメントスキームでどのように得られるスケーラビリティが変化するか、またどの種類のelliptic curvesを選択する必要があるかなどを明らかにし、現在論文誌IEEE Accessへ投稿予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は上記の2つの研究成果を学術論文誌に掲載されるように引き続き研究を遂行する。
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Causes of Carryover |
昨年度に引き続きCOVID-19の流行により予定していた国際学会参加を取り止めたため、見込みよりも使用額が少なかった。次年度は、研究遂行に必要なワークステーションの購入、および学術論文誌の掲載料に使用する予定である。
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