2021 Fiscal Year Research-status Report
振動と視覚を組み合わせた動作教示システムの開発 -三味線の学習支援への応用-
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18K18163
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
柴田 傑 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 助教 (90649550)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 身体動作 / 学習支援 / バーチャルリアリティ / 振動刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初計画では,2019年度に開発したシステムを発展させ,視覚と振動刺激を組み合わせて三味線の撥の動きを模倣した動きを提示するシステムを開発し,効果を評価し,2020年度は,2019年度の予備的な実験の結果を精査し,システムの改良および評価実験を実施し,成果を発表する計画であった. しかしながら,新型コロナウィルスの流行によって,一部行動が制限されるなどの影響があり,2020年度に十分な実験が実施できず,2020年度の後期に評価実験用のデータを計測するにとどまった.この実験では,身体にモーションキャプチャを装着して視覚刺激と振動刺激を用いて目的点を提示し,目的点に到達するように前腕を動かして反復運動を学習する実験を実施した.実験開始の遅れによって,実験データを解析する十分な時間が確保できなかったため,研究期間を延長し2021年度に必要な評価実験および成果のまとめと解析をすすめる計画であった. 2021年度は2020年度の後期計測した実験結果について解析を進めた.特に,目的点に到達するまでの時間について統計的な比較を含めた解析を進め,学術論文への投稿を目指した.投稿の結果,査読者より移動時間だけでなく移動距離の解析についてコメントが得られた.また,計測に用いた装置の特性についての追加の実験の必要性についても言及があった. そこで,2021年度には追加の実験を計画し推進したものの,引き続いての感染症の影響によって追加で計測したデータの十分な解析時間が確保できなかったことから,再び研究期間を延長し,再び学術論文誌への投稿を計画している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では,2019年度までに開発したシステムについて評価実験を実施し,2020年度に成果をまとめる計画であった.しかしながら,感染症拡大の影響で十分な実験が難しかったことから,研究期間を延長し,実験と結果の解析を2021年に実施することとした.特に,視覚刺激と振動刺激を組み合わせて空間中の目的点を提示し,刺激に応じて前腕の往復させながら動きを学ぶ実験について,実験で得られた結果について統計的な解析を施し,開発したシステムの特性と効果について明らかにする作業をすすめた.本解析では,三味線の打ちの動作において,目的の場所に正確に撥を移動できるまでの時間を評価指標とし,提案手法によって視覚のみの提示に比べて移動時間が短くなる傾向があることが明らかになってきている. これらの成果について詳細に検討し,学術論文として発表することを予定していたものの,査読者から移動時間だけでなく移動距離の評価も検討する点,実験装置の特性について追加的な実験を含めて明らかにするよう指摘を受けた.感染症拡大の影響で,指摘された点についての追加の実験を実施する十分な時間の確保が難しく,追加の実験が2021年度の後期にずれこむなど,計画は遅れている. 以上のことから,本研究は感染症拡大の影響もあり,遅れており,再び計画を延長して次年度も継続することとした.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は,2021年度と同様,実験済の結果の解析と評価を中心に研究をすすめる計画である.まず,2021年度の査読において指摘を受けた視覚刺激と振動刺激を組み合わせた前腕の反復動作の学習実験の結果について追加の解析を実施する予定である.引き続き,2020年度および2021年度に計測した実験データを改めて解析し,繰り返し動作の時間だけでなく,移動距離についても統計的な比較を試みる.すでに2021年度の解析で,提案手法によって,従来手法に比べて短い距離で前腕が目的点に到達できる傾向があることが示されているため,これを精査し,統計的にまとめる予定である.また,2021年度の後期には,実験に用いた振動モータの特性について,振動モータに加速度センサを装着して振動の強さを計測する追加の実験を実施している.この結果についても,本実験の成果を明確するための予備的な実験の結果として検討する. データの解析を中心に研究を進め,解析・評価結果およびシステムの特性の計測結果は,学会発表または論文として広く公表し,議論を深めることを目指す.2021年度に引き続き,感染症の状況が不透明であることから,既に計測したデータの解析を中心に,実験は必要最小限にとどめて研究を進める.
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