2022 Fiscal Year Research-status Report
音楽理論に基づく自動編曲を用いた音楽電子透かし法の開発と定量的評価の検討
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18K18174
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
村田 晴美 中京大学, 工学部, 准教授 (10707186)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 音楽電子透かし |
Outline of Annual Research Achievements |
音楽,画像,動画などのディジタルコンテンツに対して著作権情報などの付加的な情報を埋め込む電子透かし技術において,主観的な音質を向上することを目的とし,既存の時間領域に対する透かしの埋め込み法(従来法)を改善した.時間領域に透かしを埋め込む手法では,すべての周波数成分を操作する必要があるが,ウェーブレット領域であれば,ある特定の周波数成分のみに透かしを埋め込むことが可能となる.そこで,従来法の透かしを埋め込む領域をウェーブレット領域にした手法を提案し,提案法の有効性について検討している.ウェーブレット領域に透かしを埋め込むことで,時間領域に透かしを埋め込む場合と比較して透かしの埋め込みに起因するノイズを軽減することができるため,透かしを埋め込んだ後の音楽であるステゴ信号の音質を向上させることができる.従来法と提案法との比較実験をし,主観的な音質が向上したことを確認した. しかし,他の既存手法との比較実験が十分でなかったため,ウェーブレット領域に対して透かしを埋め込む既存手法に対しても比較実験を行なった.既存手法では,低周波数帯域に透かしを埋め込んでいるため,主観的な音質は提案法のほうが良いことを確認した.さらに,透かしの攻撃に対する耐性評価実験をした.その結果,透かしの埋め込み位置が既知のときには攻撃が加えられた場合であっても高い耐性が得られた.しかし,同期符号による透かしの埋め込み位置の検出後に透かしを抽出した場合では,攻撃が加えられたときに正しく透かしを抽出することができず,耐性が低かった.一方,提案法では,同期符号による透かしの埋め込み位置の検出および透かしの抽出において,高い耐性を維持できたことから提案法の有効性を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
9月から研究を中断しており,十分に研究を遂行できていないため.
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Strategy for Future Research Activity |
既存手法との比較実験で得られた結果を論文にまとめ,投稿する予定である. さらに,音楽理論に関する知識を用いることで,透かしを埋め込みつつ演奏上の違和感が生じないステゴ信号を作成し,編曲と類似した効果が得られる透かしの埋め込み法の考案および実装をおこなう予定である.
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Causes of Carryover |
9月から研究を中断しており,当初予定していた研究を遂行できていないために次年度使用額が生じた. 研究分野に対する調査や論文投稿を含む対外発表のための費用,実験環境の整備等に使用する予定である.
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