2023 Fiscal Year Research-status Report
音楽理論に基づく自動編曲を用いた音楽電子透かし法の開発と定量的評価の検討
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18K18174
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
村田 晴美 中京大学, 工学部, 准教授 (10707186)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 音楽電子透かし |
Outline of Annual Research Achievements |
音楽電子透かしでは,オリジナルの楽曲(ホスト信号)に対して透かしを埋め込む際に,音質が劣化しないことが求められている.既存の電子透かし法では,透かしを埋め込んだ後の楽曲(ステゴ信号)とホスト信号との差分ができるだけ小さくなるような処理を施すことで音質が劣化しないようにしている.しかし,この差分は知覚された場合にランダムノイズとして聞こえてしまう.そこで,この差信号に音響的意味をもたせ,かつ,ホスト信号との親和性を高めることで,知覚されてもノイズと認知されないように,作曲や編曲の技法を利用した音楽電子透かし法について検討した. 編曲技法の一つとしてダイアトニックコードに着目し,ダイアトニックコードの7thコード, 6thコード,トライアドを用いて透かしを定義し,楽曲中で演奏されている和音をダイアトニックコードに変換することで透かしを埋め込む手法を提案した. また,楽曲に対して透かしを埋め込む場合,事前に音高推定や音価推定などが必要となってくるため,音高推定や音価推定が誤った場合に適した音を付加できない可能性があり,音楽として違和感が生じると考えられる.そこで,音の情報が数値で表されているMIDI音源を利用することで音高推定,音価推定や音源分離をせずに透かしを埋め込むことが可能となるため,作曲や編曲の技法で操作した音のみの音質を評価することができる.簡単な試聴による音質評価により,ステゴ信号とホスト信号との差は知覚できるが,音楽上の違和感がないことを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
編曲技法を用いて透かしを埋め込む手法の考案および実装ができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
編曲技法を用いて透かしを埋め込む手法について,透かしの埋め込み操作によって楽曲に演奏上の違和感が生じていないかについて評価をし,音楽として違和感がないステゴ信号を作成することができたことを確認したが,楽曲で演奏されている和音を用いて透かしを埋め込んでいるために,透かしの埋め込み容量が少ない.そこで,他の編曲技法を組み合わせ,音楽として違和感がないステゴ信号を維持しつつ,透かしの埋め込み容量を増大させる手法の改善について検討する.
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Causes of Carryover |
2023年9月まで研究を中断していたことにより,補助事業期間を延長しているため次年度使用が生じた.実験環境の構築,研究分野に対する調査や対外発表のための費用などに使用する予定である.
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Research Products
(1 results)