2019 Fiscal Year Research-status Report
体液・糞便中メタボローム解析を通じたヒト母子の化学物質曝露影響解析
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18K18199
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
江口 哲史 千葉大学, 予防医学センター, 助教 (70595826)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | メタボロミクス / 残留性有機汚染物質 / 重金属 / 出生コホート / DNAメチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はまず臍帯中のPCB濃度について、曝露レベルと臍帯のDNAメチル化との関係を行った。その結果、先行研究において曝露レベルについては濃度差が認められなかったにもかかわらず、DNAメチル化アレイにより測定した中で変動していたDNAメチル化部位は女児5箇所、男児1箇所とは性差が認められた。このため、曝露によるDNAメチル化の変動には性別が関与する可能性が認められた。さらにDNAメチル化アレイにより変動が示唆されたメチル化度合いについて、パイロシーケンスによりバリデーションを行ったところ、女児臍帯のtudor domain containing 9のみがバリデートされ、PCB曝露濃度と正の関係が示唆された。しかしながら本因子は男児の生殖機能に影響することが既報で報告されているが女児の影響については報告がないため、本因子の変動が及ぼす生体影響は明らかではない。これらの結果についてはそれぞれ、国際誌であるInternational journal of environmental research and public に投稿・受理された。 また、共同研究として、PCB曝露を行ったイヌ試料について、脳中メタボロームの変動について解析を試みた。曝露群・非曝露群のメタボローム組成を直行部分最小二乗法-判別分析およびパスウェイエンリッチメント解析により解析した結果、アミノ酸代謝に関わる複数のパスウェイの変動が認められた。また、本研究結果については国際誌であるToxicology and applied pharmacologyに投稿・受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、化学物質の測定およびメタボローム解析についてはターゲット試料の分析は終了しているため、問題なくデータの解析を進めることが可能である。 また、メタボローム解析について複数の共同研究が進んでおり、これらについても分析結果が出始めているため、概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
得られたデータについての解析を進め、学術誌への投稿を目指す。また、メタボロームに加え、DNAメチル化など複数のオミクスデータが得られているので、これらを組み合わせた解析に挑戦する。 また、共同研究のメタボローム解析についても進め、こちらについても学術誌への投稿を目指す。
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