2018 Fiscal Year Research-status Report
Mre11、 BRCA1と非相同末端結合が共同する新規DNA修復経路の解析
Project/Area Number |
18K18200
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
津田 雅貴 広島大学, 理学研究科, 助教 (00734104)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | トポイソメラーゼ2 / DNA修復 |
Outline of Annual Research Achievements |
トポイソメラーゼ2(Top2)は、DNA複製、染色体凝縮、転写に必須である。Top2は、絡んだ2本のDNAを解く。解く時に一方のDNAを一過性に切断する。切断時にTop2はDNA二重鎖切断端5’に共有結合する。Top2が共有結合したDNA二重鎖切断をTop2 cleavage complex(Top2cc)と呼ぶ。各細胞でTop2ccは毎日100万回のオーダーで生成され、Top2自身によって再結合される。しばしばTop2が再結合に失敗し切断端にTop2が結合したままのDNA二重鎖切断が多数自然発生する。Top2が再結合に失敗した結果できた切断を病的Top2ccと呼ぶ。以前、病的Top2ccのDNA切断端からTop2を除去する酵素としてMre11 DNA切断酵素を同定した。除去はG0/G1期の細胞でもなされる。 2018年度は、BRCA1も同様の機能を持つことをPNAS誌に報告した。この研究結果をもとに、BRCA1とともに働くタンパク分子を見つける為に、Top2ccを精製する条件検討を行った。最初に、野生型細胞を用いて、エトポシドの暴露時間と処理濃度を検討した。その結果、10μMのエトポシドでを3時間暴露する条件が最適であることを見つけた。さらに、Top2ccを精製するには、塩化セシウム密度勾配法を用いた手法が最良の精製手法であることを確認できた。また、Top2ccはプロテアソームによる分解の影響もうけるので、プロテアソーム阻害剤を添加することで、より多量のTop2ccを精製することが可能になった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2018年度は、BRCA1欠損した細胞をCRISPRiで作製し、エトポシドまたはエストロジェン暴露後の病的Top2ccの除去効率の低下が起きていることを確認できた。この研究結果から、エストロジェンは病的Top2ccを形成させ、その除去にBRCA1が関与することが明らかになった。また、BRCA1欠損マウスを用いて、エストロジェン暴露後にエストロジェンレセプターが発現している乳腺組織でDNA損傷が蓄積することを確認できた。これらの内容をPNAS誌に報告した。さらに、BRCA1ととに働く分子を探す為に、Top2ccを精製する条件を最適化できたので、質量分析を用いた解析ができるところまで到達できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
エストロジェンまたは、エトポシドを野生型細胞またはBRCA1欠損細胞に暴露し 、Top2ccを本年度最適化した手法で精製し、質量分析を行う。質量分析で見つかるタンパク分子に相当する遺伝子を破壊し、病的Top2ccが蓄積するのかを評価する。
|
Causes of Carryover |
当初予定では、大量の細胞培養が必要と想定されていたが、プロテアソーム阻害剤を用いることで、スケールの小さい条件下で多くの病的Top2ccを精製することができた。培養スケールが小さくできたことで、次年度使用額にくりこせるようになった。次年度は他のTop2抗体も試したい。
|
Research Products
(3 results)