2020 Fiscal Year Research-status Report
PM2.5に寄与するバイオマス燃焼の種類を識別する指標の開発と発生源解析への応用
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18K18204
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
藤井 佑介 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 助教 (90780099)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | バイオマス燃焼 / PM2.5 / ベトナム / ホーチミン |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、これまでの野外フィールド観測から得られたPM2.5試料に対する化学成分分析を重点的に行った。2019年9月から開始・継続していたベトナムのホーチミン(ベトナム国家大学ホーチミン市校の建物屋上)におけるPM2.5試料捕集を2020年8月に終了し、1年分の貴重なPM2.5試料(100試料以上)を入手した。これらのすべての試料に対して、主要な化学成分(有機炭素、元素状炭素、水溶性有機炭素、水溶性イオン成分)の分析を行い、バイオマス燃焼発生源によるPM2.5への影響について解析し、その影響を確認することができた。その他、統計モデル(Positive Matrix Factorizationモデル)解析により、自動車からの排気ガスや海塩、二次粒子生成由来等の影響も示唆された。当研究機関の建物屋上(大阪府堺市)で捕集した1年分のすべてのPM2.5試料(100試料以上)に対して、水溶性イオン成分の分析を行った(有機炭素や元素状炭素、水溶性有機炭素成分については一部の試料のみ分析を行っており、残りの試料分は次年度に行う予定である)。PM2.5中のバイオマス燃焼に由来する有機化合物(主な対象:リグニン熱分解生成物)の定量について、当初ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)のみを用いて分析を進める計画であった。しかしながら、一部の測定対象成分の分析が、GC/MSでは困難であることが判明した。そこで、液体クロマトグラフ質量分析計(LC/MS)のメンテナンスを実施した後に、一部対象成分の分析条件の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
対象とする一部の有機化合物が当初予定していたGC/MSでは定量が困難であることが判明し、LC/MSによる一部対象成分の分析条件の検討せざるを得ない状況に陥った。また、複数の学会発表を予定していたが、新型コロナウィルスの世界的な蔓延状況により中止された。
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Strategy for Future Research Activity |
一部対象成分のLC/MS分析条件の詳細について検討し、大気観測・室内燃焼実験から得られた試料の化学分析を重点的に行う。特に、試料数が不十分なバイオマスの室内燃焼実験・化学分析を行う。これまでの結果を総括し、学会・論文発表を行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:当初予定していた分析装置 (GC/MS) で測定困難な対象物質の存在が判明し、別の分析装置 (LC/MS) のメンテナンス及び分析条件の検討が必要となったため。また、複数の学会発表を予定していたが、新型コロナウィルスの世界的な蔓延状況により中止されたため。 使用計画:次年度への繰越金は、LC/MS分析に必要な溶媒や試料分析前処理に必要な消耗品費等に充てる。その他、投稿論文の英文校閲費や学会発表に必要な参加費、旅費等にも使用する。
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Research Products
(5 results)