2018 Fiscal Year Research-status Report
クロストリジウム属細菌のセルロース系バイオマス分解酵素生産の調節機構
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18K18218
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
市川 俊輔 三重大学, 教育学部, 講師 (50781118)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | バイオリファイナリー / セルロース系バイオマス / Clostridium thermocellum / 糖質関連酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
地球上に膨大に存在し未利用な資源であるセルロース系バイオマスからの原油代替化合物生産(バイオリファイナリー)を実現するために、セルロース系バイオマスの効率的分解を達成する必要がある。バイオリファイナリーの候補細菌であるClostridium thermocellumはセルロース系バイオマスの構造や構成成分を認識し、遺伝子発現調節因子(σ因子)を介して、その分解に適した多種の分解酵素を分泌する。本研究では、σ因子の機能を明らかにすることでC. thermocellumのバイオマス分解酵素生産の調節メカニズムを解明する。 これまでにC. thermocellumのσ因子遺伝子構成的発現株の作製に成功している。σ因子タンパク質が細胞内に存在していることを、ウエスタンブロッティングにより確認した。トランスクリプトーム解析によって、この株の糖質関連酵素遺伝子のうち47つの発現が促進、10つの発現が抑制されていることがわかった。この株の培養液のセルロース系バイオマス分解活性は、野生株のものより小さかった。セルラーゼ活性には変化がなかったが、キシラナーゼ活性が低下していることがわかった。 以上の通り、本研究ではσ因子遺伝子構成的に発現するC. thermocellum株を作製することによって、σ因子の機能をin vivoで解析することができた。今後はσ因子遺伝子構成的発現株と野生株の生産酵素プロファイルを比較することによって、セルロース系バイオマス分解に重要な役割を果たす分解酵素を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度までで当初の研究計画どおり、σ因子遺伝子発現株の作製とそのトランスクリプトーム解析を進められており、順調に進展していると認識している。
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Strategy for Future Research Activity |
σ因子が直接調節する分解酵素遺伝子を、σ因子遺伝子構成的発現株のChIP-seq解析によって明らかにする。σ因子遺伝子構成的発現株と野生株の生産酵素プロファイルを、活性染色法によって明らかにする。ここまでで得られた結果からセルロース系バイオマス分解に重要だと推定される酵素を調製し、その特徴を明らかにする。
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Causes of Carryover |
初年度にChIP-seq解析費用を計上していた。サンプル調製は済んでおり、今年度の早い時期に解析できる見込みである。次年度分として請求した助成金と合わせて、基盤的な備品の購入、ChIP-seq解析、セルロース分解酵素のリコンビナント調製と酵素活性評価を行う。
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