2019 Fiscal Year Research-status Report
What factor can affect deer population dynamics? Evaluation of bottom-up foctors at multiple temporal scales.
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18K18227
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Research Institution | Research Institute of Environment, Agriculture and Fisheries, Osaka Prefecture |
Principal Investigator |
幸田 良介 地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所(環境研究部、食と農の研究部及び水産研究部), その他部局等, 主任研究員 (60625953)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 窒素同位体比 / 妊娠率 / RKFI / 生息密度 / GIS |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は前年度に収集したサンプルの分析を行うとともに、新たな調査とサンプル収集を継続して行った。 サブテーマ①(短期スケール)では、2018年度に収集したシカ捕獲個体(オス19個体、メス32個体)を対象に、体毛の窒素安定同位体比分析を行い、各個体の農作物依存度を推定した。また、捕獲地点、性別、年齢、メスの妊娠の有無を記録するとともに、栄養状態の指標であるライニー式腎脂肪指数(RKFI)を算出し、RKFIに対する各要因の影響と、妊娠の有無に対する各要因の影響を解析した。その結果、農作物利用度が高いほどRKFIが高くなる傾向が認められ、農作物利用がシカの栄養状態を向上させていることが示唆された。一方で妊娠の有無に対しては栄養状態や農作物利用度の間に有意な関係は認められなかった。今年度も大阪府猟友会と調整し、新たにシカ捕獲個体56個体(うちメス33個体)を追加収集しており、データ数を追加して再解析を行う予定である。 サブテーマ②(中期スケール)では、糞塊除去法によるシカ生息密度推定を、前年度と同様に104か所の調査地で実施し、シカ生息密度の補強データを取得した。また、狩猟メッシュ(約5km四方)単位でのシカ捕獲数を算出し、各調査地周辺の捕獲圧を評価した。 サブテーマ③(長期スケール)では、サブテーマ②で明らかにした生息密度分布データを用いた解析のための準備を進めた。過去の分布情報として1985年の2kmメッシュごとの生息の有無情報を整理し、現在の分布状況との重ね合わせを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおり、各サブテーマにかかる項目を順調に達成しつつ、研究を進展させることができている。 サンプル収集についても、猟友会や保全団体との連携により、当初予定を上回るサンプル数の確保が達成できた。得られたサンプルの安定同位体分析を引き続き進めるとともに、統合的な解析を実施していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は追加収集したサンプルを含め、すべての安定同位体分析を終えるとともに、各サブテーマを連携させた統合的な解析を進めていく。現在、安定同位体分析を実施予定であった総合地球環境学研究所が新型コロナウィルスの影響により分析が実施できない状況となっているものの、同等の機器がそろう京都大学生態学研究センターとも連絡を密にとり、滞りなく分析が実施できるように準備を進めている。
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Causes of Carryover |
統計解析結果の頑強性の担保および分析結果の精度向上のため、分析サンプルを追加収集することとした。そのため、当年度に予定していた安定同位体分析を一部次年度にずらし、一括して効率よく行うこととした。それに伴い、次年度の分析に必要な費用を繰り越して確保した。したがって、次年度使用額は分析にかかる消耗品費や分析のための出張旅費、分析サンプルの処理のための人件費として使用することを計画している。
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Research Products
(5 results)