2018 Fiscal Year Research-status Report
低炭素社会構築に向けた炭素二次資源循環利用技術選択・開発指針提言ツールの開発
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18K18228
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大野 肇 東北大学, 工学研究科, 助教 (20769749)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 産業連関分析 / ライフサイクル評価 / 廃棄物リサイクル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では製品中に固定されている炭素に着目し、その滞留維持による低炭素社会実現への方策を議論する。研究計画に挙げた手順4項目のうち、平成30年度は主に1:廃棄物発生側データの取得、2:処理技術データの取得に取り組むと共に4:LCAホットスポット解析に基づく目標達成に向けた技術改善指針の可視化についての試行を行った。 廃棄物発生側データとして、1990年から2005年までの5年おきに発行される産業連関表を元に、家計消費された最終製品に含まれる炭素量の定量化を行った。家計消費中の炭素固定量は解析した4か年において約2千万トン-CO2換算となっており、年間の温室効果ガス排出量の1~2%程度であることが明らかとなった。2005年ではそのうち容器包装リサイクル法などの適切な法律によって回収が行われていないものが半数を占めており、多くの炭素が循環に乗る以前の段階で散逸していることが明らかとなった。本内容はThe13th Biennial International Conference on Ecobalanceにおいて発表した。 処理技術データとして、プラスチックの中でも比較的生産量が多く、廃棄物処理の段階で混入が問題となるポリ塩化ビニルの処理技術に関する開発段階のデータを取得した。この新規技術とポリ塩化ビニルが混入している廃プラスチックをリサイクルする場合を例として、現行処理技術群の中に新技術が導入され環境負荷が低減されるための条件を技術選択最適化手法を用いて演繹的に導いた。この内容は第14回日本LCA学会研究発表会にてポスター発表し、ポスター賞を受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題において最も難易度が高いと考えていた技術選択最適化モデルが簡単な例ではあるが構築できた。特に、開発段階にある技術における未確定の要素を変数として、目標達成に求められるスペックを演繹的に算出する手法は技術開発だけでなく、政策整備などの長期的なビジョンが重要視される場面において有用であると考えられる。本来の計画とは開発の順序が前後したが、上記のような知見が前もって得られたことは有益である。
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Strategy for Future Research Activity |
30年度に開発した技術選択最適化モデルに組み込む処理技術側のデータの収集及び整理を重点的に行うとともに、最適化モデルと動的分析のリンクを試みる。現状では最適化の目的関数は一定の短期間における温室効果ガス排出量最小化などになっているが、動的分析とのリンクによって長期的な目標のクリアを目的関数にするような定式化が必要となると考える。
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Research Products
(2 results)