2021 Fiscal Year Annual Research Report
Building technology choice and development support tools toward achieving a low-carbon society with carbon circulation
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18K18228
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大野 肇 東北大学, 工学研究科, 助教 (20769749)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 炭素循環 / プラスチック / リサイクル |
Outline of Annual Research Achievements |
炭素含有製品のリサイクルの直接間接的温室効果ガス(GHG)排出削減効果の可視化について分析方法及び結果を精緻化した。結果として、2011年に家計消費により社会に固定された炭素は560万トンであり、日本全体の最終需要において39%を占めることが明らかとなった。この内、430万トンは理論的にリサイクル可能な形態(プラスチック、合成繊維、合成ゴム、木材等)であり、これらがすべて単純焼却された場合1580万トン(年間GHG排出の1.2%)のCO2に相当する。この単純焼却により得られたエネルギーがすべて発電に利用された場合、6.3億Whの電力が得られ、それによるCO2排出控除効果は310万トンである。一方、焼却せずにマテリアルリサイクルを行った場合は1280万トンの直接排出を回避すると共に、1750万トンの間接排出を控除できると推計された。 また、リサイクルによるCO2排出削減効果の高い製品は、ニット製衣類であった。一方で、現在の法制度では衣料のリサイクル方法については定められていないため、今後優先的にリサイクル法の整備を進めるべき産業であることが示唆された。さらにプラスチック製品に目を向けると、プラスチック製品に固定された炭素のうち、その製品が特定のリサイクル法により処理が管理されていないものが約40%に上ることも明らかとなった。本成果は、Resources, Conservation andRecycling誌(IF 8.086)に掲載された。 この結果を受け、2021年度はプラスチック中の炭素に着目し、動的マテリアルフロー解析を行った。結果として、現状のプラスチックリサイクルのシステムでは、ほとんどの炭素が1回の使用の後CO2として散逸するのに対し、マテリアルリサイクル・ケミカルリサイクルを適切に導入することで散逸量を長期的に抑えることが可能であることが明らかとなった。
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