2019 Fiscal Year Research-status Report
Study of achieving the healthier lifestyles along with sustainable production and consumption of parm oil
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18K18231
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
重富 陽介 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 准教授 (30780358)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | オイルパーム / マテリアルフロー分析 / 持続可能な消費と生産 / 産業連関分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
今日安いコストと食用・工業用・バイオ燃料への広い用途から最も重要な植物油種であるパームオイルの生産において、生産地におけるプランテーションに伴う森林減少や、それを発端とする生物多様性の損失、二酸化炭素の増加、児童労働といった国際的な社会環境問題が深刻化している。今後パームオイル需要は人口増や温暖化対策を機にさらに加速化することが予想されており、世界のパームオイル需要の緩和はこれらの問題解決に向けた必須事項である。こうしたパームオイルを必要とする商品の最終需要先は先進国が中心となっており、日本も例外ではない。しかしながら、パーム油の用途は加工食品や菓子類、外食産業への一次利用と、化粧品や医薬品、洗剤等の化学工業製品への二次利用が存在し、単にパームオイルの輸入量を追うだけではその国の真のパームオイル依存量を把握できない問題が生じている。 当該年度では、国連食糧・農業開発機構 (FAOSTAT)における「Commodity Balances - Crops Primary Equivalent」および「Detailed trade matrix」を用いて、国際パームオイル (パーム油 + パーム核油) フロー構造を推定した。この操作により、2000年から2013年までの、236ヵ国間におけるパームオイルの二国間フローを用途別 (食用、非食用、農業用) に定量した。このフローを国際産業連関表に組み合わせることで、日本の最終需要による間接消費量の時系列分析を行った。また、後に利用する日本の家計消費需要を考慮した関連研究を実施した。 これらの成果をもとに、当該年度では査読付き国際誌3本、学会口頭発表4報を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ここまでに本研究で得られている用途別パームオイルフローは、FAOSTATが公開するデータに整合しながら、その最新年を含めた時系列データを捉えている点で、これまでにない新規性を持つ。このフローをもとに現在貿易のグラビティモデルを適用した分析を共同研究者とともに行っている。また、現時点で日本以外の諸外国も含め、最終需要別にサプライチェーンを遡って消費されるパームオイルと、それに関連する土地改変量および生物多様性を推計した。後者については、この時点の成果を論文としてまとめているところである。 これらの成果はおおむね研究計画の実施段階を踏まえて実施されており、したがって (2) という自己評価が妥当であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、まず関連論文の執筆中の論文原稿を仕上げることを優先的に進める。さらに、ここから日本の家計最終消費支出部門を細分化し、将来の人口動態データと組み合わせることで、今後の日本のパームオイル依存構造を推計する。この細分化は、現在用いている産業連関表との部門コンコーダンスを実施する必要があるため、自身のこれまでの研究による知見を活かしながら行う。次年度中には、成果をまとめて国際誌査読付き論文に投稿できるよう、円滑に研究を進めていきたい。
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Research Products
(7 results)