2019 Fiscal Year Research-status Report
Active research on creative succession of rural resource
Project/Area Number |
18K18234
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松本 文子 大阪大学, COデザインセンター, 特任助教(常勤) (40533550)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 創造的継承 / 創造的人材 / 寛容性 / 創造性 / アートプロジェクト / 疏水 / 農村資源 / 地域創生 |
Outline of Annual Research Achievements |
以下の内容から、創造的資源継承についてのモデル構築を進めることができた。 まず、創造的な地域人材育成の事例調査として、大阪府豊中市において市と民間団体が共同で実施している「とよなか地域創生塾」事業を調査対象とし、参与観察とともに、参加者に質問紙調査を実施、参加者のプロファイリングと事業への参加を通した年間の変化を調べた。結果、事業への参加を通して、「考え方の変化」「他者の話を聞く力」「地域課題の情報収集経験」「フィールドワークにおける主体性」「コミュニケーション能力」「他者との交流」「他者の受け入れ」「挑戦を肯定的にとらえる」といった要因に変化が見られた。同事業についての調査を継続し、これらの要因と創造性、寛容性との関連について、さらに検証する。 また、創造的資源継承についての定性的な要因、メカニズムの把握のため、島根県津和野町で実施された「津和野会議」では、「地域と創造性」のセッションにおいてモデレータを務め、アートプロジェクト、地域おこし協力隊、県外からの留学の事例をもとにしたディスカッションから、創造的資源継承のモデルにおいて、創造性と同時に寛容性が重要な要因であることが確認された。 さらに、農村における創造的資源継承について、実践的にアクション・リサーチを行う事例として設定した兵庫県東条川疏水地域の「東条川疏水ネットワーク博物館」事業では、「疏水の日」シンポジウムにおいて、地域住民を対象としたワークショップを企画・実践した。ここでは、事業に対する意見を集める形式ではなくアイデアを収集する構成にすることによって、アウトプットがより新規性や創造性を有するものとなり、資源継承のための事業に創造性を付与するための方法論が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
異動により所属研究機関が変更したため、研究基盤の再構築に時間がかかった。 また、研究室所属であった研究当初と異なり、教育を目的としたセンター所属となったことから、指導学生との共同研究ができなくなったため、研究の進捗に遅れが出た。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定していた質問紙調査では、回答率低下や主観性、調査対象者の世代の偏りの問題があったが、これらを解決できるような調査方法を調べ、また、所属機関の変更により、脳波測定機器を調達することができた。これにより、プロジェクト参加者に対する、新たな客観的測定方法を得られたため、飛躍的に研究が推進すると考えられる。 今年度は、コロナウイルスの感染拡大によりフィールド調査ができない可能性があるため、これまで得た、インタビューデータと地理空間情報、サンプル数が少ないが一人あたりの情報量が多い脳波データを高度に分析することとして、定性的な分析やそこから明らかになるメカニズムの構築に主点を移す。定量的な仮説検証については、インターネットを利用した調査についても検討する。
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Causes of Carryover |
異動により所属機関が変更したため、当該年度の研究開始が遅れた。 また、所属機関から研究支援助成金を獲得したため、予定していた人件費が不要となった。 さらに、当初予定していた質問紙調査の実施に課題があり、脳波測定への調査方法の切り替えに時間がかかった。 以上の理由から次年度使用額が生じた。
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