2022 Fiscal Year Annual Research Report
Exploring patterns of and measures against elite capture in tropical forest governance
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18K18235
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
大田 真彦 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 准教授 (80752279)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エリートキャプチャー / 技術の導入 |
Outline of Annual Research Achievements |
台湾の国立台湾師範大学およびインドネシアのガジャマダ大学と共同研究を実施した。インドネシア中部ジャワのマゲラン県で、土壌侵食や地滑りが発生しやすい地域で農業を行なっているキャッサバ農家に、土壌流出防止のために改善されたキャッサバ栽培技術の受容に関する調査を実施した。このトピックに関し、エリートキャプチャーの現象が見られるか否かも確認した。農家への世帯調査、村役人など地元の機関への聞き取り、およびフォーカスグループディスカッションを実施した。 新技術の導入プログラムに参加経験がある者のうち、新技術を継続していたのは少数であり、ほとんどは既に元の技術に戻っていた。元の技術に戻った農家は、新技術によって自然を保全したり、土壌の劣化を回避したりしても、大きな恩恵―特に経済的利益―は得られないと考えていた。他方で、これらの農家は、研究者からの支援がある限り、保全プログラムに再び参加する意思があると述べた。プログラムに参加した経験がない者は、プログラムへの参加に関心を持っており、プログラムに参加することで、自然と生活の両方に利益をもたらすと感じていた。 農家の外部支援への依存度は高く、プログラムは持続可能となっていなかった。農家が新しい土壌保全技術を採用するのを妨げている主な要因の一つは、経済的利益の欠如とみられる。他方で、政治的・経済的に優位な者が不当に大きな利益を得たり、新技術を独占的に得て得をするといったエリートキャプチャー的現象は確認されなかった。
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