2018 Fiscal Year Research-status Report
A study of sustainable drought adaptation based on an empirical analysis of the scarcity and substitutability of water resources
Project/Area Number |
18K18238
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
篭橋 一輝 南山大学, 国際教養学部, 准教授 (60645927)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 水充足度 / 経済成長 / 同時方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、水の利用可能性と経済成長の間に存在する内生性を考慮しつつ、水利用が経済成長に与える影響と、経済成長が水利用に与える影響を計量経済モデルによって分析した。一般に、説明変数に内生性が存在するときには、変数のパラメータの推計値にバイアスが発生し、推計値の信頼性が損なわれる。この問題に対して、本研究では同時方程式の手法を用いて、正確な推計値を求めた。 水の利用可能性を表す指標として、本研究ではHanasaki et al. (2008)の水充足度(cumulative abstraction to demand)データを用いている。1905年から1995年、158カ国分の水充足度のパネルデータを用いて、種々の経済データや気温・降水量等の水文データと統合し、独自のデータベースを構築した。このデータベースを用いて、経済成長を被説明変数としたモデルと、水充足度を被説明変数としたモデルを構築し、両者のモデルを同時方程式として解いた。 分析の結果、人口や所得水準によって把握される規模効果(scale effect)は水充足度を低下させる影響を及ぼす一方で、全要素生産性の技術効果(technique effect)を通じて水充足度は向上することが分かった。また、資本労働比率や都市化率によって捕捉される構造効果(composition effect)によって水利用の効率性が高まり、水充足度が上昇することが分かった。また、経済成長の水充足度に対する弾力性や、水充足度の経済成長に対する弾力性についても計算し、シャドー価格を推計した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
水利用と経済成長の関係に関する実証分析を進めることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
アンケート調査を用いた水の代替可能性と希少性に関する実証分析を進める。
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Causes of Carryover |
讃岐平野のため池の水利用に関する調査を次年度に回したため。平成31年度(令和元年)に調査を実施する。
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