2019 Fiscal Year Research-status Report
A study of sustainable drought adaptation based on an empirical analysis of the scarcity and substitutability of water resources
Project/Area Number |
18K18238
|
Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
篭橋 一輝 南山大学, 国際教養学部, 准教授 (60645927)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 補完性の原理 / レジリエンス / 渇水 / ため池 / ランドケア / 水資源管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
香川県讃岐平野のため池水利における渇水適応と、オーストラリアのランドケアにおける自然資源ガバナンスの取り組みを比較し、渇水時の水利用の効率性と公平性をバランスさせている制度の背後にある原理を分析した。オーストラリアでは1986年からランドケアと呼ばれる、地域を主体としながら、政府や地方自治体、大学や企業、NGOなどの様々な主体との協働を通じて環境・資源危機の解決を図る仕組みが整備されてきた。本研究では、ランドケアの活動を成功に導いた原理を、①集団の自律性、②ローカリズム、③統合資源管理、④パートナーシップ、⑤福祉水準の維持に集約しつつ、これらの原理が、香川県讃岐平野の渇水適応の事例でも同様に見いだされることを示した。第一に、各土地改良区はため池の利用・管理に関して高い自律性と自治が担保されており(=①)、ため池管理の責任はそこに最も近い主体が負う(=②)ことで、主体的な渇水適応が可能となる。第二に、単にローカルレベルのため池ごとに渇水適応が行われるのではなく、流域単位で水資源配分が行われ、香川用水土地改良区という上位集団との協働を通じて、渇水適応が図られた(=③・④)。第三に、農作物の枯死が農家の人々に与える精神的・不可逆的損失に目を向け、その回避という観点から渇水適応が行われた(=⑤)。こうした諸原理が組み合わされることで、「補完性の原理」が作動し、渇水時のため池水利における効率的な水利用と公平な水利用がうまくバランスしていることを仮説的に示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度末にアンケート調査を実施する予定であったが、新型コロナの影響でアンケートを配布・実施することが困難であったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
早急にアンケート調査を実施し、分析結果をまとめるとともに、国内外の学術誌に投稿し、研究成果の発信を積極的に行う。
|
Causes of Carryover |
当該年度末にアンケート調査を実施する予定だったが、新型コロナの影響で、実施を延期せざるを得なかったため。次年度の早い段階で、アンケート調査を実施する。
|