2018 Fiscal Year Research-status Report
Developing methods for evaluating environmental education program
Project/Area Number |
18K18239
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
桜井 良 立命館大学, 政策科学部, 准教授 (40747284)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 環境教育プログラムの評価 / 里海教育 / 評価手法 / 研究者と実務者との協働 / 聞き取り調査 / アンケート |
Outline of Annual Research Achievements |
実践的研究として、岡山県備前市立日生中学校で行われている海洋教育プログラムの評価研究を行い、その成果は国際誌Environmental Education Research(論文タイトル:Students’ perceptions of a marine education program at a junior high school in Japan with a specific focus on Satoumi)及び国内誌「環境教育」(論文タイトル:里海を題材とした中学生への海洋プログラムの教育効果)に掲載され、また学会(第29回日本環境教育学会大会)で研究発表をし、環境研究総合推進費(S-13)テーマ4シンポジウム(「改めて考える『里海』」)で講演をした。更に、書籍「持続可能な沿岸海域実現を目指した沿岸海域管理手法の開発」においても本研究結果が発表された(5.7. 地域住民の沿岸域への愛着と里海教育の可能性)。もう一つの実践的研究としては、日本環境教育フォーラムが山梨県北杜市で1987年より毎年開催している清里ミーティングの評価研究を行い、原著論文を執筆し学会誌に投稿したとともに(現在査読中)、国内の学会(第29回日本環境教育学会)で研究発表をした。この他、本プロジェクトに関連する研究の成果としては、海洋教育プログラムの成果も含めた共著論文がEnvironment, Development, and Sustainabilityに掲載された(論文タイトル:Cultivating relational values and sustaining socio-ecological production landscapes through ocean literacy: a study on Satoumi.)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一つ目の実践的研究である日生中学校の海洋教育プログラムの評価においては、中学校の教職員の協力を得て、生徒への継続聞き取り調査だけでなく、教員及び保護者へのアンケート調査を実施することができた。また、これまでの一連の研究成果は、2018年度に3本の査読付き論文の掲載(2本国際誌、1本国内誌[2本第一著者、1本第二著者])という形で達成でき、また2018年度に2本の書籍の章としてまとめられた。海洋教育プログラムの評価研究においては、当初の予定より早く業績を積むことができたと考えている。二つ目の実践的研究である清里ミーティングの評価においても、その成果を二つの学会で発表し、研究者と実務者との協働に焦点を当て原著論文を執筆し投稿することができた。清里ミーティングのプログラム評価としては、現在新たに原著論文を執筆しており、これら二つの論文が受理された暁には本清里ミーティング評価研究はおおよその成果を達成できたことになる。その他、本プロジェクトに関連する研究の成果としては、社会心理学アプローチによる研究結果がJournal of Asian Researchに掲載され(論文タイトル:Application of the Hope Theory to understand reconstruction beliefs and life satisfaction level among residents following the Fukushima Disaster)、また環境教育プログラムの評価手法の開発プロジェクトとも密接に関連する論文(学部生を対象とした野生動物問題に関するロールプレイイングワークショップの実践)を執筆し、掲載された。以上の事より、「様々な現場で応用可能な環境教育プログラムの評価手法の開発」という研究テーマにおいて、おおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
一つ目の実践的研究である海洋教育プログラムの評価においては、2018年度に360°評価を可能とする多様な関係者(保護者、教員)へのアンケートを実施することができたので、生徒や卒業生への聞き取りの結果とともに、まずこれらの調査の結果を分析し、成果を論文にまとめる必要がある。更に2019年度に、次のステップとして、日生中学校全校生徒へのアンケート調査を実施予定なので、この結果をもとに数量的な分析を行い、新たな評価手法の開発に向けた知見を得ることを目指す。この数量的分析結果についても、論文にまとめる予定である。二つ目の実践的研究である清里ミーティングの評価においては、同プログラムの効果を示すアンケート調査(参加者への意識調査)の結果を現在分析中であり、その成果を英語論文にまとめる予定である。2019年度はこれらの二つの実践的研究の成果をもとに、理論的に評価手法を検討し、提言にまとめる予定である。更に、保全生態学など関連する学問分野への貢献も目指し、野生動物を含む環境と人間との新たなる共存の在り方を検討するための意識調査や環境教育プログラムも検討する予定である。
|
Causes of Carryover |
予定していた清里ミーティングの評価に関する現地調査は、データ(参加者の意識調査の結果)が現地に行かずに収集できたため、またこれに関連する打ち合わせはメールなどでやりとりすることで旅費などを削減することができた。日生町への出張もメールでのやり取りを経て、出張回数を減らすことができた。調査票の入力のバイト代も予定よりも安くすみ、人件費の支出も削減することができた。なお2019年度は本研究の一環として、環境教育プログラムの評価及び新たなる人と自然との共存について現状を把握するための一般市民を対象としたウェブアンケートを実施予定で、また共同研究者との打ち合わせのために米国に出張予定である。次年度使用額をこれらウェブアンケートや海外出張のために執行予定である。
|