2018 Fiscal Year Research-status Report
ソ連解体後ウズベキスタンのバザールにおける商実践の特徴と変容:家畜売買の事例から
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18K18242
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
宗野 ふもと 筑波大学, 人文社会系, 特任研究員 (30780522)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ソ連解体後 / ウズベキスタンのバザール / 生活戦略 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ソ連解体後ウズベキスタンのバザールにおける商実践の特徴を明らかにすることである。本年度は、ウズベキスタンのバザールに関する基礎情報を、現地での聞き取り調査(8月実施)と文献調査によって明らかにした。 ソ連時代には、バザールは「コルホーズ市場」として各世帯に付属する私的耕作地で生産される余剰作物や私有家畜を販売するための商空間として、1930年代に合法化されていた。計画経済体制下にありながら、バザールでは品物を自由価格で売買することが許されていた。報告者が調査をしているウズベキスタン南部カシュカダリヤ州の村落部では、ソ連時代には、国営商店よりも週に一度開催されるバザールが人々の生活物資購入の場及び余剰生産物販売の場として重要性が高かった。さらに、ソ連解体後は、調査地においてバザールの規模と数は増加しており、また、仲買人の活動が解禁されたことから多くの人がバザール商売をするようになったことが明らかになった。一方で、タシュケントやサマルカンドの都市部ではショッピングモールやスーパーマーケットの開店が相次ぎ、バザールに競合する商業施設としての存在感が高まっている。 今年度の研究を通して、ソ連時代とソ連解体後におけるバザールの位置づけの違いや変化に関する基礎情報を得られた。これらの情報を元に、次年度はソ連解体後のバザール活性化プロセスを、ソ連解体前後にバザールで商売を始めた人を対象に聞き取り調査を実施し、明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、報告者が別途取り組んでいる「ソ連時代の女性の労働経験」に関する研究成果の刊行に注力したこと、また、所属機関が変わり研究に割くことのできる時間が減少したことから、本課題に十分に取り組むことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、上述の研究成果刊行が進んでおり本課題に本格的に取り組めるはずである。本年度は、二回のフィールドワークを実施する。ソ連解体前後にバザールに参入した人々に聞き取り調査を実施し、ソ連解体後のウズベキスタンのバザール活性化のプロセスを明らかにする。
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Causes of Carryover |
本年度は二回の現地調査を予定していたが、一回しか実施することができなかった。今年度は、現地調査を二回以上実施し研究計画の遅れを取り戻す予定である。
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