2022 Fiscal Year Annual Research Report
Spain as an Immigration Receiving Country: Between Latecomer Advantage and Regionalism
Project/Area Number |
18K18245
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
深澤 晴奈 慶應義塾大学, 商学部(日吉), 講師 (90761429)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 移民政策 / スペイン / 市民社会 / 地域主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
20世紀の大半を通じて移民流出国だったスペインは、2000年代初頭に短期間のうちに移民受け入れ国へと変貌した。21世紀のヨーロッパにおいて新規移民受け入れ国となったスペインは、寛容とも言われた移民受け入れ政策を導入しつつも、EU統合の深化と拡大に伴う欧州共通移民政策などの外圧を理由に随時規制もおこなった。 本研究では、移民受け入れ後発国であったスペインが、大規模な移民流入から今日までの20年間に辿ってきた移民政策の変遷と市民社会の反応を分析し、とくに移民の社会統合政策において、「後発性の利益」を享受しつつ、いかに市民社会が移民流入を受容してきたか、そして時にバックラッシュを経験するに至ったのかについて検討を進めた。同時に、経済状況の変化、民主化後の政治情勢や市民社会の自律といった国内政治の中で独自の政治的バランスを伴ってきた移民受け入れ状況、地域主義が顕著である自治州における社会統合政策、EUや近隣諸国との関係性における移民政策の策定過程なども念頭に検討した。そうしたなか、本研究では、国内での地域主義過熱の影響とそれに対抗する国家ナショナリズムを掲げて存在感を増すに至った極右勢力の動向から、それまで相対的に抑制されてきた移民排斥の言説が以前よりも顕在化している可能性にも注視した。その際には、底学歴や底所得もしくは失業中の社会的弱者が経済的理由から移民に反感を抱くという一般的なストーリーから反転し、学歴や所得においては中間層でとくに失業中ではない層が排外的な極右政党を支持する傾向についても、新たな検討事項とすることができた。
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