2021 Fiscal Year Research-status Report
The Transformation of the Religious Consciousness Under the British Mandate in Palestine: Comparison between the Pan-Islamist Discourses and the Popular Folklore.
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18K18246
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
金城 美幸 立命館大学, 衣笠総合研究機構, プロジェクト研究員 (80632215)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | パレスチナ / 民衆文化 / ナクバ / シオニズム / イスラーム / 民族運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究実績としては、昨年度に引き続き、1920年代のイギリス委任統治下パレスチナにおいて、パレスチナ人の中での汎イスラーム的言説が展開する舞台となったエルサレムという都市に注目した。そして、エルサレム周辺の村々において、イスラエル建国以前にどのような民衆の生活や宗教観があったのかを分析の中心に置いた。とくに、エルサレムから北西5キロメートルに位置するリフター村についての村落史を収集し、分析を行った。 これまでの研究では、これまでリフター村の出身者たちが離散先で発刊してきた6冊の村落史を収集し、それらの分析を通して、イスラエル建国前の村民たちの宗教実践と、それが現在において再解釈されている在り様を分析してきた。今年度はさらに、こうした村落史が現在の同村出身者たちのいかなるネットワークの中で生み出されてきたかを検討した。具体的には、現地調査から明らかになったリフター村民たちの5つの村民協会の存在が、村落史の作成・出版・共有において果たしている役割を検討した。 また、汎イスラーム的言説についても、1920年代以降にイギリス委任統治下のパレスチナでの宗教行政において中心的な役割を担ったハーッジ・アミーン・アル=フサイニーの著書や評伝を中心に分析を進めており、リフター村の村落史に現れる1920年代の民衆の宗教実践との差異を検討している。 現在、これらの分析を学術論文にまとめる準備を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度は新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言により、家庭内にケアを要する者がいたため、研究が大幅に遅延した。また、今年度もパレスチナへの渡航が可能な状況になく、資料収集などに遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間をさらに1年延長し、2022年度にリフター村と都市エルサレムにおける言説との差異についての研究成果をまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染拡大のため、海外渡航が困難となり、研究計画に遅れが生じたために次年度使用額が生じた。来年度の使用計画としては、現地の研究協力者に協力を仰ぎ、研究に必要な資料収集のための経費として使用する予定である。
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