2019 Fiscal Year Research-status Report
Considering Acacia plantation from marine fishery and nutirent flow -A case study in central Vietnam-
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18K18250
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡本 侑樹 京都大学, 地球環境学堂, 特定助教 (00635500)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ベトナム / カキ / 栄養塩 / 基礎生産 / マイクロプラスチック |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度の成果に基づき、研究の方法、1)と3)の調査・分析について、各地点の詳細なデータの取得に努める形で、研究を遂行した。湾内の栄養塩類の状況については、カキが養殖されている地点を中心に栄養塩類(NH4, NO3, DIN, PO4)の定期的な測定を続けているが、非常に低い状態であり、富栄養化が問題とされないレベルであることが示唆された。また、養殖漁場の場所ごとの生産性の違いが漁業者から指摘されたため、これらのモニタリングのため、4地点での個体成長モニタリングを2019年8月より開始した。これらのデータと環境要因(空間的な違いも含む)から各地点のカキの生産量の違い、手法の違いについて考察を深める予定である。基礎生産と植物プランクトン組成のモニタリングについても、基礎生産の測定とCha aの定期モニタリングを8月から実施し、カキの餌生物である植物プランクトンの各地点の種組成や量についての分析を開始している。カキ養殖業者への聞き取りでは、林業や漁業、小売店など副業を営む世帯が多く、複合生計の一つにカキ養殖が位置付けられていた。販路についても大型個体については、高値でレストランへ取引され、養殖期間が1年未満の小さな個体は、養殖飼料の餌などを取り扱う企業に売買されていた。今年度については、雨季の雨が少ない、湾口付近での橋脚工事の影響により、湾奥部で水が滞留、水位が低くなり、大型藻類が繁茂し、養殖業に影響を与えていた。 上記に加え カキの安全性やプラスチックごみに関する声が寄せられたため、予備的なマイクロプラスチックの調査を8月と12月に実施した。解析途中であるため、成果は次年度になるが、本調査地においても、5mm以下~100μm以上のマイクロプラスチックが発見されている。概ね順調に研究を実施できており、2021年度は研究成果の取りまとめ、発表に重点を置きながら研究を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カキの生育に必要はプランクトンや基礎生産、クロロフィル量のデータが着実に集まり、現地の養殖世帯の実利用についての状況把握も順調に進んでいる。加えて、当初、予定していなかったが。現地からの要望であったマイクロプラスチックの予備調査なども実施・分析を開始することができており、予定より多くのデータの収集と分析に成功している。最後の1年で、これらの解析と取りまとめを進め、現地および学術への還元できればと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度(最終年)は、残りのサンプルの分析を進め、カキの成長に関係する各種の要因との因果関係について考察を深めるとともに、現時点であまり影響が見られていない陸側・アカシア林プランテーションの影響を総合的な評価の実施していく。加えて、現地漁業者からのニーズに応えるべく、学術分野だけでなく、現地へのデータの還元し、各漁場の現状をしっかりと認識してもらうとともに、これからのカキ養殖や林業の在り方の指針になるようなデータ共有の場を創出していく予定である。
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Causes of Carryover |
当初よていしていた出張による調査が、コロナの影響でキャンセルとなったため、次年度に利用することとした。
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